作り方にも衝撃! パン+小麦粉+パン粉ってどういうことっ!?

さっそくお好み焼きの店『やまと』のお母さんに、パンカツの準備をしてもらいます。まずは6枚切りのパンに、水で溶いた小麦粉をまんべんなく両面に塗り、しっとりしたところでパン粉を両面につけて準備完了。

あの~。パンとパン粉を水溶き小麦粉でくっつけて焼くだけですよね。それ、どこがおいしいんですか?
「これをラードで焼くのがポイントなんですよ。ラードを使うことによって、豚の旨みが遠くにカツを感じさせてくれるんです」と熱弁する加藤さん。ラードで遠くにカツ? だんだんワケがわかんなくなってきます。

卓上の鉄板があったまったところで、いよいよパンカツを作ります。まずはラードをパンより一回り大きいぐらいに広げ、そこにパンを置きます。ジュワジュワ小さな音がたつなか「ラードは譲れないですね~。普通のサラダオイルで作るとベチョってなっちゃうんですよ。サラダ油よりラードを使うのは高級トンカツ店と同じですよ。揚げ焼きにするような感じで、カリッと仕上げるのがポイントです。協会では昔の製法で作られている高級ラードを使用しているんですよ」。
えっ? 協会オリジナルのラードまであるんですかっ? それ、一般の人も買えるんですか?「購入できますが業務用なので一斗缶です。一般家庭ではチューブで売っているラードがいいと思いますね」。……確かにラードの一斗缶は、一般家庭では消費不可能です。

片面がきつね色になったらひっくり返して、ラードを追加投入。「これを協会では“追いラード”と言いますね。これも作り方のポイントです」。

両面が焼けたところで、ウスターソースビーム!「協会では東村山のソースメーカー ポールスタアさんで協会専用の無添加パンカツ専用ソースを作ってもらっています」。そ、そこまでこだわりがあるんですかっ?「もちろんご家庭では、普通のウスターソースで構いません。ただし、トンカツソースじゃなくてウスターソース、ですね」。

両面にソースをかけ、ほどよく馴染んだところをコテでカット。8等分にすると、たしかにカツに見える! しかも薄い衣で香ばしく揚がった、いい感じのカツ! なにこれっ? 一気にカツ感がアップしています。

作りたてをさっそく試食。口の中に入れると、沁みたソースの味、ラードのほのかな旨み、カリッとした食感といい、カカカ、カツッ! マジでカツッ! ウマい! 想像以上のおいしさです。
「遠くにカツが感じられるでしょ?」とにっこり微笑む加藤さん。
いやいや、遠くどころか、わりと近くに感じられますよ、カツ。肉なしなのに、旨みがあって、どこかほのかに甘さも感じるおいしさです。正直ナメてました。これ、もっと広がってもいいC級グルメですよ! でもなんでBじゃなくてCなの?
「C級のCは「cheap(安い)のC(笑)。パンはね、高級食パンより、一般的な食パンで作るほうがおいしいですよ」。
たしかに1枚の材料費いくら? ってぐらいのチープなローカルフード。でもこれ、クセになる。ラードとウスターソース買って、家でも作りたくなるほど、一度食べたらハマるおいしさです!
「現在八王子市内で3件の店で食べられるほか、5月の立川の楽市、夏の八王子まつり、東京工科大学の学園祭などの出店で売っているので、機会があったらぜひみなさんに食べて欲しいですね。詳しくは日本パンカツ協会のHPをチェックしてください」。
実はパンカツの歌や体操があったり、パンカツの公認アイドル「エイトプリンセス」がいるなど、多岐にわたって活動している日本パンカツ協会。八王子だけではなく、新潟支社、ロンドン支社もあるとのこと。えっ? もしや最終目標は世界制覇?

ちなみに、パンカツを卵とじにしてカツ丼風にしてもおいしいそうです。「パンにキャベツとソース、パンカツを挟んでパンカツサンドもおすすめ」。って、またさらに小麦粉系で包むんですかっ!
最初は、どうせ大したことないんでしょ~、なんて呑気に思っていたC級グルメですが、意外性と美味しさにガツッと衝撃を受ける結果に。今度の休みはパンカツを食べに、八王子に遊びに来てみませんか?
(撮影◎島本絵梨佳 取材・文◎石澤理香子)
●DATA

店名:やまと
住:東京都八王子市元横山町2-15-3
TEL:042-622-4475
営:16:30~22:00(LO21:30)
休:水・木曜