有機野菜と生薬の癒しカレー

『オクムサ・マルシェ』は、里山のド真ん中、緑に囲まれた美しい一軒家でした。中に入ると、木を基調とし、陽光だけでほんわかと明るい空間。大きな窓には、初夏の艶やかな緑が眩しく映し出されます。
メニューをみると、「薬膳カレー」だけでなく、手打ちそば、うどん、自家製スイーツなどもありました。
お目当の「薬膳カレー」(900円)と「レモンケーキ」、そして涼を求め、「胡桃そば」(1,000円)を注文しました。

まず「薬膳カレー」。これは、今までに食べたことがないタイプのカレーで、優しい味わい。香り高く、様々なスパイスの味を感じますが、辛みはほとんどありません。鶏ひき肉や野菜のごろごろ感があり、舌の上でとろりと溶け、野菜の甘みや肉の旨みが口いっぱいに広がります。トッピングの野菜たちも、歯ごたえがシャキッとしていて新鮮!



続いて、自家製手打ちの「胡桃そば」。こちらも、蕎麦がしゃっきりひんやり引き締まっていて、繊細な蕎麦の風味。甘すぎない“そばつゆ”も上品なお出汁が効いています。そこへ擦りたての胡桃ペーストを入れてすすると、濃厚なコクと香りで、これは、お蕎麦が何枚あっても足りないかも! と思わせられます。

カフェとはいえ、想像以上の美味しさだったので、店主の浅見敦さんにお話を伺ってみると…
「ここ奥武蔵は、何もない里山ですが、実は地元の有機野菜がものすごく美味しいんです。四季折々、奥武蔵で育つ地野菜を紹介したくてお店を開きました」とのこと。野菜が美味しいのも納得です。
カレーは特に通常使う野菜の2~3倍の量を使ってルーを作っているそう。また、その野菜の香り、旨み、苦味などをしっかり味わって欲しいとの思いから、通常の香辛料よりも体に優しい“生薬”的なスパイスを中心にした薬膳カレーになっていったと言います。

野菜は、自然に育てると季節によって味が変わります。つまり、同じ野菜を使ってカレーを作っても、初夏には初夏の味、秋には秋の味になる。さらに、季節で変化する食べ手の体に対応すべく、生薬も少しずつ変える。これが『オクムサ・マルシェ』のカレーです。