和風? 洋風? 食べる度に驚きが押し寄せる『おだし東京』の料理がスゴい!

料理に合わせて多様な「だし」を使った、ちょっと変わった料理たち

 例えば、真鯛のお椀、すき焼き、地鶏のおかゆと、一見するとどれも普通の和食ですが、食べてみると、これがタダモノではないのです。料理に合わせて、鰹だしをはじめ様々なだしを用いて…と、ここまでは和食の作り方と同じなのですが、食べてみるとハッとさせられます。その秘密は、食材と隠し味。和食ではあまり見かけない野菜やチーズ、フォン・ド・ボーなどの洋風だしを組み合わせてあるんです。

だしを8種類も使った真鯛のお椀にびっくり

「8種のおだしと真鯛のお椀」(1,180円)
「8種のおだしと真鯛のお椀」(1,180円)

 料理はすべてこのように膳で提供されます。こちらの料理、一見するといわゆる普通の真鯛の椀と炊き込みご飯なのですが、実は、このお椀には、だしが8種も使われているのです。かつお、昆布、椎茸のだしに加え、フォン・ド・ボーやフュメ・ド・コキーユなどフランス料理に使われるだしや、鶏白湯などの中華スープまで、贅沢に8種類のだしを掛け合わせて作られています。

 それに甘辛い醤油で炊いた味がよく染み込んだ鯛を一緒にいただくと、びっくりするほど合うんです。和風のお椀だと思っていたら、ブイヤベースのような深い味わいも感じたり。一方の炊き込みご飯には、生姜と海苔がかかっていますが、よく見るとチーズもあります。食べてみると不思議な発見と新食感に感動必至です。

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レモンとトマトとクレソンでいただく「檸檬すき焼き」

「檸檬すき焼き」(1,580円)
「檸檬すき焼き」(1,580円)

 また、こちらの名物の一つがすき焼き。とはいえ、こちらもやっぱり一味違います。ベースはすき焼きの味なのですが、具材としてレモンやトマト、クレソンがたっぷり入っているんです。これをお肉と一緒に、卵を絡めていただきます。甘辛い醤油の味にやわらかく煮えた牛肉とクレソンは、もう和の趣を飛び出して、そこはかとない東南アジア料理のテイストも感じられ、予期せぬ新しい出会いに思わず顔もほころびます。

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鶏白湯スープのお粥と美味しくて不思議な付け合わせ

「はかた一番どりのお粥」(980円)
「はかた一番どりのお粥」(980円)

 もう少しライトな料理が食べたい、という人には、鶏の旨みを存分に感じられるお粥もあります。鶏ガラを一晩煮込んでつくる白湯スープの旨みがたっぷり詰まったお粥には、食感が楽しい鳥団子が入って、ホッとやさしい味。

 付け合せは割とストレートな味なのかな? と小鉢に手を伸ばすと…もちろん待ってました! とばかりに嬉しい変化球が。梅干だと思っていたのは、ドライトマトと穂じその酢づけ。さらに、レモン風味のしらすが添えられていたり、やっぱりひと味違ったラインナップ。そのまま食べても、お粥に混ぜて味変させても楽しい小鉢たちに、ちょっとした驚きです。

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 いい意味で予想を裏切られる、楽しい発見がいっぱいの『おだし東京』。店内はカウンターとテーブル席で、和モダンな雰囲気のなか落ち着いて食事ができます。和なの? 洋なの? とさまざまな驚きがあるのですが、決して奇をてらいすぎず、どの料理も調和がとれていて美味しいのがスゴイ!

 和食の料理人、イタリアンシェフ、フードプランナーというさまざまなバックグラウンドのある開発メンバーが試行錯誤して研究を重ねて、美味しくて楽しいメニューを考えているのだとか。おなじみの料理でもこんな展開があるのかと、驚きと楽しい出会いがあるお店です。ぜひ行ってみてください。

(文・写真◎矢巻美穂)

●SHOP INFO

おだし東京

店名:おだし東京

住:東京都港区高輪3-26-27 JR東日本品川駅構内 エキュート品川 サウス
TEL:03-6450-4456
営:月〜土7:00〜23:00(LO22:30)
日・祝8:00〜22:00(LO21:30)
休:なし
http://www.soup-stock-tokyo.com/odashi/
※料理は全て税込

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●著者プロフィール

矢巻美穂

国内、海外の旅行雑誌を中心に活動するカメラマン。趣味は温泉めぐりと食べ歩き。座右の銘は「美味しいものは産地で食べるに限る」。旬の美味しいものをその産地で食べることに興味津々。著書に「トレッキングとポップな街歩き ネパールへ」「とっておき! 南台湾旅事情故事」がある。