200万個を売り上げたドーナツ店『いっ久家』に聞いた、最高に旨いドーナツの食べ方

200万個を売り上げたドーナツ店『いっ久家』に聞いた、ドーナツのおいしい食べ方
食楽web

開業以来1種類の絶品ドーナツ店

 荻窪駅北口を降りてロータリーのすぐ右手にある対面販売の小さなお店。皆、駅を利用するためにただ通る道のはずですが、多くの人がこの店の前で足を止め、「1個、2個…10個」と買っていくのは、ぷっくりまるまる太ったドーナツ。一目見ただけでも買いたくなります。

 さらに、店を切り盛りしているお父さんの「大変お熱いので、お気をつけてください」「いつも、ありがとう存じます」という優しい声にも、ものすごく引き寄せられるんです。
 ここは、荻窪駅前の『いっ久家』さんで、「どーなつ」170円が有名なのはもちろん、「どーなつ」を売る「お父さん」もちょっとした名物と言ってもいいほどの有名店なのです。

「種類はたった1つですが、おかげさまで1日平均500個、2007年にオープンして11年間で通算200万個お買い上げいただきました」と、お父さんこと、山本実さんが教えてくれました。

「いっ久家」のスーパーバイザー・山本実さん
「いっ久家」のスーパーバイザー・山本実さん

 さっそく、1つ購入すると揚げたてでアッツアツ。ハフハフかじってみると、これまたびっくりするくらいフワフワ。油で揚げているのにくどさや重たさがなくて、ドーナツ生地から濃厚な風味も感じます。プレーンなのに、こんなに食感が軽くて、旨味の濃いタイプのドーナツを食べたことありません!

 そこで、お父さんに「いっ久家どーなつ」の人気の秘訣を聞いてみました。

「どーなつ」1個170円。5個以上買うと1個あたり160円
「どーなつ」1個170円。5個以上買うと1個あたり160円

極上の秘伝豆が旨味の源

「山形の“秘伝豆”を使ったドーナツなんですよ。だから豆の旨味が濃いでしょ。そうそう、知らない人も多いけど、うちはドーナツ屋ではなく本当は豆乳屋なんですよ」とニコニコ。

 確かにメニューには豆乳がありました。しかし、圧倒的に売れているのはやっぱりドーナツなんです。

 秘伝豆のことを詳しく聞くと、山形、宮城、岩手、秋田の一部の東北4県でしか獲れない貴重な青大豆なのだそう。しかも、青大豆(枝豆)の部類では日本で一番高い品種で、豆全体で言っても、最高級で知られる丹波の黒豆に次ぐほど。

 さらに秘伝豆の長所について、お父さんがたくさん教えてくれました。かいつまんで言うと、通常の枝豆よりエグミが少なく「香りの秘伝豆」と称されるほど、風味豊かなんだそう。また、成分も通常の大豆より高タンパク・低脂質で、ものすごくヘルシー。さらに、豆に期待する栄養素、イソフラボンやサポニンがたくさん含まれているので美容・健康に最適だとか。

 その秘伝豆のフレッシュな豆乳が、毎日、山形の契約農家から届き、その都度、秘伝豆からできた「おから」と小麦粉を配合したフレッシュな生地を練って、揚げ立てで提供する、それが、こちらの「いっ久家のどーなつ」なのです。

ガラス越しにドーナツを揚げているところが見られる。これを見ているだけでも楽しい!
ガラス越しにドーナツを揚げているところが見られる。これを見ているだけでも楽しい!

そのまま食べるだけではない!美味しい食べ方

 そして、「どーなつ」を購入すると、お父さんが必ず美味しい食べ方を教えてくれます。
「日持ちは常温で5日間。冷凍は1ヶ月大丈夫です。美味しく食べるには、レンジで20秒、もしくはオーブントースターで1分半。ただ、どうしても風味が落ちるので、本当は今すぐ食べるか、明日までに食べていただくのが1番なんです」

 なるほど。でも、大丈夫です。すぐに食べちゃいます。こんなに美味しそうなんだもの、待てません。と思っていたら、さらに、絶品の食べ方があると教えてくれたんです。その方法に、ちょっとびっくり。

「“どーなつ”を温めた後に半分にカットして、レタス、ハム、チーズ、キュウリなどのサンドイッチ具材を挟んでみてください。これ、絶品なんですよ。うちの豆乳“どーなつ”はマヨネーズやタルタルソース、ケチャップと言ったソースの相性が抜群なんです。ぜひ、お持ち帰りいただいてやってみてください」と。

 塩味系のそんな具材&ソースが、甘いドーナツに合うなんて信じられません!
 そこで、さっそくテイクアウトして、あり合わせ具材でサンドしてみたところ……。

ハム、チーズ、キュウリ、プチトマトにマヨネーズを挟んでみました
ハム、チーズ、キュウリ、プチトマトにマヨネーズを挟んでみました

 驚愕です! ハム、チーズ、そしてフツーのマヨ、トマ、キュウリを挟んだだけなのですが、信じられないくらい美味しいんです。
 これは「いっ久どーなつ」の超絶フワフワ感と、甘すぎず、秘伝豆のコクも合わさっているからこそ、なのでしょう。しかし斬新な「ドーナツ・サンドイッチ」をお父さんに教えてもらったので、ぜひ、この“ニューテイスト”を広めたい!

 そこで、ソーセージとケチャップも試してみました。こちらは、フランクフルトのようでイメージしやすいと思いますが、やっぱり、「いっ久どーなつ」の美味しさのおかげで、一般のフランクフルとよりずっと美味しいです。間違いなし!

 そして、お父さんが教えてくれたことを思い出しました。
「“どーなつ”生地の6割は、フレッシュな秘伝豆の豆乳と、秘伝豆からできたおからを使っています。また、油は3種類を配合していて、そのうち1つは焙煎した油です。うちの“どーなつ”の製法は実は特許も取っているんですよ」

 まさか特許まで取得しているとは! 良質&新鮮な素材と考え尽くされたシンプルな手法。その上で丁寧に作るドーナツはどこにも真似できません。だからこそ、プレーン1種類でも味わい深く、しかもこんなにも極上のサンドイッチができるんですね。ぜひ、みなさんも試してほしいです。わざわざ行く価値アリ!のお店です。

(取材・文◎土原亜子)

●SHOP INFO

店名:いっ久家どーなつ 荻窪本店

住:東京都杉並区上荻1-6-4荻窪ロータリー内
TEL:03-3220-1072
営:10:00~20:00
休:なし
http://www.ikkyudonut.com