戸谷シェフに聞いた絶品カヌレができるまで

――カヌレはどういうふうに作られるんでしょうか?
「最初にカヌレの胴型1個1個に蜜蝋を回し入れ、薄く蜜蝋が行き渡ったら裏返して、余分な蜜蝋を落としてから、固まるまで時間をおきます。この蜜蝋の厚みが、カヌレのカリッとした食感になるんです。そのあと生地を流し込んで焼き上げます」(戸谷シェフ・以下同)

――カヌレの生地の食材は何を使っていますか?
「フランス産の小麦と発酵バター、ブラウンシュガー。さらに卵、牛乳、バニラビーンズ、ラム酒などを配合して作ります。どの食材も一つひとつ試して選び抜いたものです。そのほか、イタリアのピエモンテ産のヘーゼルナッツとフランス産のミルクチョコレートなども使用します」

――そもそも、なぜ今回カヌレの店をオープンしようと思ったんでしょうか?
「カヌレは、ワインで有名なボルドーの伝統菓子です。以前、フランスでお菓子の修業で滞在していた時代に、何度もカヌレを食べにボルドーに行きましたが、日本では味わったことのない美味しさでした。しかし帰国後、その本場の味を超えると思えるほどのカヌレに京都で出合ったんです」
それが京都にある『カヌレ』というお店のカヌレ。戸谷シェフはそのカヌレに惚れ込み、自ら、技術を学びたいとお願いに行ったほど。その味を学び、さらに試行錯誤を重ねた結果、今回、シェフが理想とするカヌレが完成したんだそうです。

「私が目指すカヌレは、外側の部分がかなり薄くて、カリッとしていること。そして、中の生地はもっちり、しっとり。そして何より、舌の上でとろけていくような食感を大事にしています」
この唯一無二の食感を実現するためには、焼き上がった後に棚の上で寝かすことが大事とのこと。オーブンから出してゆっくりと余熱が入り、ゆっくりとその熱がとれていく…その時間が、この食感を生むんだそうです。

ちなみに、ここのカヌレは買ったその日の美味しさはもちろんですが、2日目以降もよりしっとりした食感を楽しめます。行列してでも買う価値のある至極のカヌレ。ぜひ体験してみてください。
(撮影・文◎土原亜子)
●SHOP INFO
店名:『LE TREIZE』(ル・トレーズ)
住:東京都港区白金1-2-1白金ザ・スカイE104
電:03-5447-0130(現在、予約は不可)
営:9:00~19:00
休:月(祝の場合は火休)
https://valuet.co.jp/brands/letreize/