太宰治『人間失格』にも出てくる『神谷バー』の「デンキブラン」|浅草

浅草のランドマーク的存在であり、伝説的カクテル「デンキブラン」で有名なのが『神谷バー』。創業はなんと1880(明治13)年。看板メニューのデンキブランは1882年(明治15)年に製造がスタート(当時は「速成ブランデー」という名称)。
名称の由来は、明治時代は電気が珍しかったため、舶来の目新しいものとして「デンキブラン」と名付けられたそう。太宰治「人間失格」、芥川龍之介「十円札」、林芙美子「新版 放浪記」などの作品にも登場するカクテルです。

ブランデーをベースに、ジン、ワイン、キュラソー、薬草などがブレンドされているのが特徴で、オーダーすると、キリッと冷やされたグラスになみなみと琥珀色の液体が注がれます。その美しさたるや…。
グラスの縁ギリギリまで注がれているので、最初の一口目はグラスを持つよりも、思いっきり琥珀の海に突っ込むイメージで顔を近づけていくのが吉。ほんのりと甘い口当たりに絡み合う薬草の風味。甘やかで美味!

さすが30度あるので、飲み込むと喉がカーッとアツくなります。でも、それがたまらない! 複雑な味わいなので合わせる料理によってさまざまなマリアージュが楽しめそうです。ちなみに現在の「デンキブラン」はアルコール30度、元祖デンキブランを味わいたい方は40度の「電氣ブラン<オールド>」(450円)をどうぞ。
なお、『神谷バー』の2Fにある『レストランカミヤ』では、デンキブランはもちろん、ハンバーグステーキやビーフシチューなどの洋食メニューのほか、1階・神谷バーの定番メニューも楽しめるので、食事目的なら2階がおすすめです。