常連客に永く愛され続ける店とは、一体どんな店だろう? そんな事を考えて酒場を巡ってみるといつも客で賑わう店には、「絶対的な名物料理がある」「ひとり客が安心して通える」など、いくつかの共通項が見えてきた。
条件その四 仕事が丁寧
美しく煌めく、ひと筋の酒。一升瓶からグラスへ見事に注がれていく。店主の花岡賢さんは言う。
「酒槽から流れる生まれたてのお酒。そんなイメージで注いでいます」。この言葉を聞くとオタクが集うマニアな店のように思われるが、さにあらず。
「ウチは日本酒を再発見して頂く装置でありたい」。尋ねられれば応えるだけの知識や技術は無論、備えているが、まずは飲んで食べて素直に、日本酒の魅力に気付いて欲しい。花岡さんは心からそう念じているのだ。
コースが基本の料理は、だから、多彩に揃う日本酒のタイプに寄り添う構成。吟醸から純米、本醸造へ至る道程を想定している。
たとえば、この日は熟成純米酒を常温で、魚の煮付けと。温度に気を配るのは当然のことで、「安酒から高級品まで同じ考えで醸す一貫性のある蔵元」の酒を入れ、「彼らが嫌がることは絶対にせず」提供している。確かに、飲んで食べればしみじみ旨い。花岡さんも静かに笑顔。丁寧な仕事ぶりは試せばわかる。
●SHOP INFO
店名:大塚 はなおか
住:東京都豊島区南大塚1-51-18
TEL:03-5395-6707
営:17:00~22:00最終入店
休:不定休
予算/6,500円 個室/あり(半個室) カード/可
料理はすべて9品3,600円のコースより。合わせて供される酒は目安500円~(一杯100ml)