常連客に永く愛され続ける店とは、一体どんな店だろう? そんな事を考えて酒場を巡ってみるといつも客で賑わう店には、「絶対的な名物料理がある」「ひとり客が安心して通える」など、いくつかの共通項が見えてきた。
条件その三店主の筋が通っている
一見にとって少しハードルが高い酒場かもしれない。隣同士の酒注ぎは禁止、女性だけの入店はできない…。事実、この店には独自のルールがあるが、それが一体どうしたというのだ。酒量をわきまえ、ここで過ごす時間をただただ楽しみたい。そんな純粋な思いさえあれば、これほど心地よい店は他にはない。
なぜか。それは3代目の店主、柴山真人さんの矜恃にあるのではないか。「ここは仕事からも家庭からも解放される、男がひとりになれる場所。初代から受け継がれるそんな空間を守っていきたいだけなんです」。
コの字カウンターの中にどっしりと腰を据え、背筋をピンとのばす柴山さん。柔らかな笑顔を浮かべ、無駄口を叩くこともない。丁寧な言葉遣いと所作からは、この空間を大切にしたいという想いが十分に伝わってくる。
酒は初代の出身地・鹿児島のさつま無双のお湯割りが定番。ちびりとやれば、誰もが良き飲み手であろうと心に誓うはずだ。
●SHOP INFO
店名:民衆酒場 兵六
住:東京都千代田区神田神保町1-3
TEL:なし
営:17:00~22:30
休:土・日・祝休
予算/3,000円 個室/なし カード/不可