芯からあったまる!人気店の【絶品スープ&煮込み】レシピ|スペイン編

人気店に教わる、欧州の絶品スープ&煮込み【3】スペイン編
食楽web

魚を使ったスープと煮込みは、ともに心地よい魚の旨みが楽しめ、肉の煮込みはアンダルシア地方の名物。飾らないけれど、体が芯から温まる味は、まさにスペインの美味しさです。

スペインの故郷の味を日本の食卓で気軽に再現

 毎年スペインに行き、あまたの郷土料理を味わっている檀上さん。当然、様々な地方の何百というスープ・煮込みのレシピが舌と頭に蓄積されている。そんな檀上さんが「こんな料理もあったのか」と驚いたというスープがひと皿目。

「スペインの北西部の街・レオンのバルで、お通しのように出されたもの。実に手軽ながらすごく美味しい。ただ現地は内陸部なのでニジマスを使います。日本では少し手に入りづらいので鮭を使いました。火にかけてスープを取る時に香味野菜を入れて臭みを取るんですが、野菜を加えすぎると魚の旨みも消されるので、味を見て少しずつ加えて下さい」

 ふた皿目は、オックステールを使った煮込み。

「他の地方では赤ワインを使うんです。しかしそれではいつもと同じ。そこでアンダルシア地方の名物・シェリー酒を使った煮込みにしました。ドライシェリーだけでもいいのですが、スイートも入れると味に奥行きが出ます。テールが手に入りづらい時は、スネ肉でも美味しい煮込みになりますよ」

 最後は、スペインでは定番の食材アンコウを使った煮込み。

「スペインでアンコウは〈ラペ〉と言い、出汁も取れるので全国的によく使われています。日本で言えば鯛と同じくらいポピュラーな食材。この煮込みで使うアンコウは鍋用に売られているパックのものでも十分美味しい。むしろ決め手は白いんげん豆の煮込み具合で、柔らかくなりすぎず、少し粘りが出るくらいにまで火を通すようにして下さい」

「どれも見た目は派手ではないですが、体が温まることこの上なし。簡単なので、ぜひこの冬に一度試してみてください」

鮭とパプリカの風味を玉子でまとめあげる 鮭のスープ

鮭とパプリカの風味を玉子でまとめあげる 鮭のスープ

材料(4人分)

・鮭のアラ……200g
・鮭の切り身……200g
・玉ねぎ……1個
・バゲット……1/4本
・玉子……1個
・ニンニク……2片
・パプリカ……少々
・塩・胡椒……適量
・オリーブオイル……適量
・イタリアンパセリ……適量

作り方

1.2L程度の水を入れた鍋に、流水に1時間さらし、臭みを抜いた鮭のアラを加え、1~2時間、強火で煮出してスープを取る。臭みがあるようなら、玉ねぎ、セロリ、人参(分量外)を少し加える。途中でアクをしっかり取る。

2.別の鍋にオリーブオイル、ニンニクのスライスを入れ、きつね色になるまで弱火でソテーしたら、玉ねぎのスライスを加えしんなりするまで炒める。

3. 2.の鍋にひと口大に切った鮭の切り身を加え、軽く炒め合わせたら、パプリカを加えよく混ぜ合わせる。

4. 1.のスープをこして3.の鍋に加える。

5.バゲットをひと口大に切り、トーストし、4.のスープに加える。

6.軽く煮たら、よく溶きほぐした玉子を回し入れ、火を止め、塩・胡椒で味を調えイタリアンパセリをちらして完成。

口の中でほどよく溶けるテールは絶品 オックステールの煮込み シェリー酒風味

フォークを刺すと骨から肉がホロリとはがれるくらいが、煮込む目安。フォン・ド・ボーは缶詰でもよく、テール代わりにゼラチン質を多く含むスネ肉でも美味しくできる。
フォークを刺すと骨から肉がホロリとはがれるくらいが、煮込む目安。フォン・ド・ボーは缶詰でもよく、テール代わりにゼラチン質を多く含むスネ肉でも美味しくできる。

材料(4人分)

・オックステール……1本分
・玉ねぎ……1個
・人参……1本
・セロリ……1本
・ホールトマト……120ml
・フォン・ド・ボー(市販のもので可)……60ml
・シェリー酒……120ml
・ブイヨン……400ml
・ニンニク……1片
・パプリカ……少々
・ローリエ……1枚
・塩・胡椒……適量
・玉ねぎ、ジャガイモ……適量
・オリーブオイル……少々

作り方

1.約2.5cm幅に切ったオックステールに塩・胡椒をし、オリーブオイルをひいたフライパンで強火でソテーし、両面に焼き色を付ける。

2. 1.のオックステールをフライパンから取り出したら、余分な油を捨て、玉ねぎ、人参、セロリのみじん切りをニンニクのみじん切りと一緒に中火でソテーし、野菜に火が通ったら、オックステールを戻す。

3. 2.にシェリー酒を120ml加える。あれば、ドライとスイートを半々で入れると、できあがりに甘さが加わり、味に奥行きが出る。

4. 3.のシェリー酒を軽く煮詰めたら、ローリエ、ホールトマト、フォン・ド・ボー、ブイヨンを加え、180℃のオーブンに入れ30分。煮詰まるまで加熱する。(オーブンがなければ極弱火にかけ、3~4時間煮込む)。ホールトマト、フォン・ド・ボー、ブイヨンは缶詰などでも美味しくできる。

5.テールの骨から身がするっと離れるくらいまで煮詰める。

6.玉ねぎと、茹でたジャガイモをスライスしソテーしたものを皿に盛り、その上に5.のテールを載せてできあがり。

熱さと旨さが口の中で爆ぜ、たちまち温かに アンコウと白いんげん豆の煮込み

少し値ははるけれど、スープにも具材にもたっぷりアンコウを使いたい。また家庭のの土鍋でよいので、熱々な状態でいただこう。よく冷えた白ワイン、ビールなどがぴったり!
少し値ははるけれど、スープにも具材にもたっぷりアンコウを使いたい。また家庭のの土鍋でよいので、熱々な状態でいただこう。よく冷えた白ワイン、ビールなどがぴったり!

材料(4人分)

・アンコウのアラ……200g
・アンコウの切り身……200g
・白いんげん豆……100g
・玉ねぎ……1/2個
・ホールトマト……200ml
・ニンニク……1片
・サフラン……少々
・オリーブオイル……少々
・松の実、アーモンド……少々
・塩・胡椒……適量

作り方

1.約2Lの水を入れた鍋に、流水に1時間程度さらして臭みを抜いたアンコウのアラを加え、1~2時間強火にかけ、煮出す。臭みがあるようなら玉ねぎ、人参、セロリ(すべて分量外)を加えて臭みを取る。サフランを加えてスープを作っておく。

2.別の鍋にオリーブオイルを入れ、大きめに切り分けたアンコウの身を中火でソテーし、取り出しておく。

3.2.の鍋でニンニクのみじん切りを弱火でソテーし、香りがしっかり出たら、玉ねぎのみじん切りを加える。

4.玉ねぎが半透明になるまで炒めたら、ひと晩水に浸し戻しておいた白いんげん豆と、アンコウのスープを漉しながら加え、白いんげん豆が柔らかくなるまで煮る。

5.白いんげん豆が柔らかくなったら、ホールトマトを加え、2.のアンコウを戻す。

6.松の実とアーモンドをローストしたもの、ニンニクを少量のスープと一緒にミキサーにかけたものを加え、塩・胡椒で味を調えてできあがり。

教えてくれた人

Tio Danjo 檀上桂太さん

Tio Danjo 檀上桂太さん

フレンチのシェフだったが、スペイン料理に魅了され、恵比寿に本場さながらの味と雰囲気のスペインバル「TioDanjo」を95年にオープンした後、2015年より調布に移転オープン。今も年に一度はスペインに行き、その美味・美酒を日本に伝えている。

●SHOP INFO

Tio Danjo

店名:Tio Danjo

住:東京都調布市布田2-37-7 エランクラス 1FB
TEL:042-444-5903
営:17:00〜24:00(23:30LO)
休:日・祝休
予算/5,000円~ 個室/なし カード/不可

(撮影◎貝塚隆 文◎藤咲茂、編集部)