芯からあったまる!人気店の【絶品スープ&煮込み】レシピ|フランス編

人気店に教わる、欧州の絶品スープ&煮込み【1】フランス編
食楽web

世界各地に伝わる昔ながらの冬の味、スープと煮込み。

素朴ながら、洗練された料理にはない、体も心もほっとさせてくれる温かみが特徴です。

今回は、フランス・イタリア・スペイン、3カ国の料理のプロが、絶品スープと煮込みを教えてくれます!

煮込みやスープと言えばメニューに事欠かないフランスから、簡単で素朴、そして心も体も温まるメニューを、「Meli-Melo」宗像シェフに教えてもらった。

上手に手抜きをすれば、名物煮込みも家庭でできる!

 ホテルでの料理人経験や、シャトーお抱えシェフ勤務の経験もある宗像康雄シェフ。裏打ちされた知識と技術がしっかりある方だけに、今回のような郷土に根ざしたスープや煮込みは、お手のものだ。

「魚、肉、豆、芋、内臓などを使った、郷土を感じさせる煮込み料理やスープは地域ごとにあります。今回は、ブルターニュ地方の魚のスープ〈コトリアード〉と、トゥールーズの豆の煮込みで、冬の定番メニューでもある〈カスレ〉、そしてもう一つは郷土料理ではありませんが、僕がパリで食べたなかでも印象に残っている〈クレソンのスープ〉をご紹介します」

 ブルターニュ地方は、フランス北西部に位置し、大西洋にせり出している半島のため海産物が豊富。

 「もともと〈コトリアード〉は漁師がその日に獲れた魚介で作るスープ。だから魚は何を使ってもいいんです。今回はアイナメとカサゴを使いましたが、これからの季節はタラやアンコウ、ブリなどもおすすめ。なにしろ簡単だし、優しい味わいがいいんです」

 日本のビストロでも人気メニューの〈カスレ〉は、豆のほかソーセージや鴨肉など具材も多く、作るのは難しそうと思いきや、「お店ではソーセージも自家製で、鴨肉もコンフィにしてから作りますが、家庭なら少しぐらい手抜きしてもいいじゃないですか。肉は煮ればいいし、ソーセージも美味しい市販のものでいい。なんなら白いんげん豆も、水煮缶を使っちゃえばいいんです」と心強いお言葉。

 そして緑が鮮やかな〈クレソンのスープ〉は、さまざまな川が入り組み、島のような地形から名づけられたイル=ド=フランス(フランス地域圏)で食べた一品だとか。

「クレソンは川のほとりでよく採れるんです。見た目にもきれいだし、初めて食べた時は感動しました。家庭でも簡単にできるので、ぜひ試してみてくださいね」

魚の優しい味わいが体にじんわり染み入る コトリアード(魚のスープ)

魚のアラからもいい出汁が出て、じんわり染み入る優しい美味しさ。じゃがいもは煮崩れしにくいものを使うのがポイント。スープが残ったら、ご飯を入れておじや風にしても美味しい。
魚のアラからもいい出汁が出て、じんわり染み入る優しい美味しさ。じゃがいもは煮崩れしにくいものを使うのがポイント。スープが残ったら、ご飯を入れておじや風にしても美味しい。

材料(4人分)

・アイナメ……1尾
・カサゴ……1尾※いずれも、魚は好みのものでOK。この時期はタラやアンコウ、ブリ、鮭などもおすすめ
・玉ねぎ……1個
・じゃがいも(きたあかりやメークインなど煮崩れしにくいもの)……3個
・長ねぎ(あればポロねぎ)……白い部分2本(太いものなら1本)
・バター……30g
・白ワイン……50ml
・水……300ml
・ローリエ……2枚
・塩……少々

作り方

1.魚はうろこと内臓を取り掃除をしたら頭をはずし、身の部分は3枚におろして小骨を取り除き、軽く塩(分量外)をしてバットなどに取り30分位置いておく。頭は使うので捨てずに取っておく。※3枚におろすのが面倒であれば身はブツ切りでも構わないが、食べるときに骨に注意。

2.玉ねぎをやや厚めのスライスにし、ねぎは4cm幅位のざく切りにする。

3.鍋にバターを入れ中火で熱し、2.の野菜を入れ、焦がさないように弱火で炒める。その間にじゃがいもの皮をむき、大きめのひと口大に切って鍋に入れ、塩を加えて全体を炒め合わせる。

4.3.の鍋に白ワイン、水、ローリエを加えて中火で煮る。

5.4.に1.の魚の頭を入れ、軽く火が通ったら身の部分も入れる。じゃがいもに火が通ったらできあがり。

目にも鮮やかなスープはまろやかなコクが印象的 クレソンのスープ

鮮やかな色みを出すには、加熱のしすぎは厳禁。クレソンの葉にさっと火が入ったら、ミキサーに手早くかけよう。バターとじゃがいもがほどよいコクを出し、満足度も高い一品に。
鮮やかな色みを出すには、加熱のしすぎは厳禁。クレソンの葉にさっと火が入ったら、ミキサーに手早くかけよう。バターとじゃがいもがほどよいコクを出し、満足度も高い一品に。

材料(4人分)

・クレソン……5束
・じゃがいも(男爵)……中玉2個
・長ねぎ(あればポロねぎ)……白い部分2本(太いものなら1本)
・チキンスープ……800ml
・バター……15g
・ピュアオリーブオイル……大さじ1
・塩……少々

作り方

1.ねぎは小口切りにする。鍋にバター、オリーブオイルを入れ、中弱火でねぎを炒める。

2.じゃがいもは皮をむいてスライスし、1.の鍋に入れすぐにチキンスープを加え、じゃがいもに火が通るまで煮る。

3.クレソンは葉の部分をちぎっておく。

4.2.の鍋に塩を加えて3.のクレソンを入れ、クレソンにさっと火が通ったら火を止める。

5.4.をミキサーにかけ、味をみて塩で調えたらできあがり。

上手な手抜きで定番煮込みを家庭で再現! カスレ

表面を繰り返し焼き込んで、旨みを全体に閉じ込めるのがポイント。塩漬け豚作りはやや面倒かもしれないが、一度作れば保存もきき、色々な料理に使い回せるので、ぜひ挑戦してみよう。
表面を繰り返し焼き込んで、旨みを全体に閉じ込めるのがポイント。塩漬け豚作りはやや面倒かもしれないが、一度作れば保存もきき、色々な料理に使い回せるので、ぜひ挑戦してみよう。

材料(4人分)

・白いんげん豆(乾燥)……200g
・豚足……1本
・豚肩肉……100g
・塩漬け豚……100g※作り方以下参照
・鴨(もしくは鶏)もも肉(骨付き)……500g
・ソーセージ……大2本※1本約150g
・トマトピュレ……大さじ2
・黒胡椒(叩いて潰したもの)……大さじ1
・チキンスープ……適量(※煮汁が足りない場合に使用)
・水……適宜、適量
*【塩漬け豚】の作り方(作りやすい分量)
豚バラ肉1kgに対して塩50gを全体にすりこみ、バットなどの上に網を置き、その上に豚をのせ、水分を抜く。そのまま1~2週間涼しいところに置いたら完成。もっと早く仕上げたい場合は、豚肉に塩をすりこんだらビニール袋などに入れて一晩置き、肉から出た水分を捨て、肉を脱水シートにくるんで水分を抜く(これを2回くらい行う)。完成した塩豚はラップにくるんで冷蔵保存すれば約1ヵ月間保存可能。

作り方

1.白いんげん豆は、豆の倍量の水に一晩浸し、戻しておく。

2.1.の豆を約3倍量の水と塩少々(分量外)で柔らかくなるまで煮る。煮えたらザルに取り、湯を切っておく。

3.大きめの鍋に豚足、豚肩肉、塩漬け豚、鴨もも肉を入れ、たっぷりの水を加え中弱火でコトコト煮る。それぞれの肉が柔らかくなったら火を止め、すべての肉を取り出す。

4.3.の豚足をほぐし、骨の部分を取り除いてひと口大に切る。豚肩肉、塩漬け豚もひと口大に切り、豚足とともに3.の鍋に戻す。鴨もも肉は取り出したまま。

5.4.の鍋に2.の白いんげん豆を加え、中火で温める。トマトピュレを加え、黒胡椒を入れたら軽く沸かして火を止める。

6.大きめの耐熱皿(ココット型、今回は直径約25cmのものを使用)に5.の具材を入れ、煮汁をひたひた位まで入れる。天火オーブン(コンべクションオーブンなど、表面がカリッと焼けるオーブン)に入れ、180度で10~15分焼き、表面に膜が張ってきたら、取り出して膜を崩し、混ぜながら再び焼く。これを様子を見ながら4~5回繰り返す。

7.6.の水分が殆どなくなってきた辺りで一旦耐熱皿を取り出す(※大変熱いので火傷に要注意)。上に、4.の鴨肉、ソーセージをのせ、5.の煮汁(余りがなければチキンスープ)を少々加え、再び180度のオーブンで焼く。ソーセージに火が入り、煮汁がなくなるくらいにグツグツいったらできあがり。

※白いんげん豆は市販の水煮でも可。その場合は400g位で、工程1.~2.を省く。※鴨もも肉は本来はコンフィ(低温のオイル煮)にしたものを使うが、家庭では上記のようにほかの肉類と共に煮て、旨みを引き出せばOK。

教えてくれた人

Meli-Melo 宗像康雄さん

Meli-Melo 宗像康雄さん

スイスやフランス・カンヌなど約5年間の渡欧で多彩な経験を重ね、2003年「メリメロ」オープン。美味しい料理とマニアをも唸らせるワインの幅広さ、造詣の深さで多くのファンを魅了している

●SHOP INFO

Meli-Melo

店名:Meli-Melo

住:東京都千代田区飯田橋4-5-4 山和ビル101
TEL:03-3263-3239
営:11:30~14:30(14:00LO) 18:00~24:00(22:30LO)、土・祝/12:00~14:30(14:00LO) 17:00~23:00(22:00LO)
休:日曜休
予算/昼980円~、夜3,500円~ 個室/なし カード/可
ワインはナチュラルなものを厳選。グラス630円~、ボトル3,000円代~。レア物も多数あり

(撮影◎貝塚隆 文◎藤咲茂、編集部)