
日常風景に溶け込んでいるものの1つに、自動販売機があります。喉が乾いていない限り、素通りすることがほとんどですが、先日、たまたま散歩途中に出くわしたとある自販機に、妙な違和感を覚えて思わず立ち止まってしまいました。それが今回ご紹介する『だし職人』という“珍”自販機。

おなじみの清涼飲料水は一切なく、缶・ビン・ペットボトルの「だし」商品ばかりが陳列されているのです。「なんだこりゃ?」としばし唖然。幻を見ているような不思議な感覚です。ふと頭をよぎったのは、昭和時代に見かけたエロ本自販機。でもこれは後ろめたさが一切なく、昼間から堂々と立っています。

さらに、よく見ると、自販機には様々な文字が書かれていて、「渾身のだし」だとか、「だしを極める」、「手間暇かけたこの1本」など熱いメッセージのオンパレード。特に心動かされたのが、TKG(卵かけご飯)に「白だし」が合うというコピーです。

また、「あごだし」のペットボトルに至っては、よく見ると、焼きあご(トビウオ)がそのまま1本入っています。なんだか不思議な商品たちで、しかも値段は各800円と自販機にしては高額。しかし、自販機からあふれ出るダシへの熱い思いに背中を押されるようにして、つい「白だし」と「あごだし」の2本を買ってしまったのです。