文豪の愛した「てんぷら山の上」が話題のGINZA SIX最上階にオープン。そのこだわりは?

てんぷら山の上
食楽web

 文学に親しむ御仁なら「山の上」と聞いてすぐにピンとくるかもしれない。「てんぷら山の上」は、彼の神田駿河台「山の上ホテル」に併設された高級てんぷら店。かつて執筆のために投宿した川端康成、三島由紀夫、池波正太郎ら、多くの文豪・文化人に愛されたてんぷらの味は、今も変わることなく受け継がれている。銀座の「近藤」、京橋の「深町」といった名店の店主を輩出したのもこの店だ。

 その「てんぷら山の上」が、4月20日にオープンしたGINZA SIXの13階に出店。以来、多くの来店客で賑わっている。

 銀座の粋人たちを虜にするのは、まず、その店構え。GINZA SIX最上階の奥まった露地を進み、暖簾をくぐると一転、銀座の街を見渡す開放的なホール空間が現れる。揚げ場を臨むのは樹齢200年を超える美しい桧のカウンターだ。あえて仕切りを作らないテーブル席からも揚げ場が見渡せ、てんぷらの奏でる音を感じながら揚がりを待つ“ライブ感”が堪能できる。

個室は隠れ家のようなカウンター席。一期一会の特別なシーンを演出する。
個室は隠れ家のようなカウンター席。一期一会の特別なシーンを演出する。

 さて、気になるお品書きはというと、やはり旬にこだわったお任せ中心の構成だが、「山の上」の神髄は「新感覚」との邂逅にある。

 四季折々の素材を全国から厳選しているのはもちろん、例えば春の季節なら、天然のこしあぶらや北海道産のホワイトスパラ、とろける食感の舞茸の新芽といった食材が、次々と繊細な衣を纏い、揚げ台へ載せられる。中には茶碗に蛤と川海苔の香りを閉じ込めたユニークな一品も。他店と一線を画す新たなスタイルがまさに五感を満たしてくれるのだ。

 「てんぷら山の上」のこだわりは食材の扱いにも見てとれる。カウンターからも見える桧無垢の扉は、昔ながらの「氷」の冷蔵庫。中には毎朝氷店から運ばれる立方体の氷塊が敷かれ、最高の状態で食材の鮮度が保たれている。これは創業以来の「山の上」ならではの伝統であり、料理長の寺岡氏曰く「機械のように乾燥せず、脱臭効果もある」という。

カウンター後方に見えるのが、伝統の氷の冷蔵庫
カウンター後方に見えるのが、伝統の氷の冷蔵庫

 添えられる大根おろしや塩に至っても、細やかな仕事がなされている。例えば大根おろしは、辛味を抑えて上品な甘みを引き出すため、特注のおろし金を使用。また、塩は料理長自ら研鑽を重ねた特製品を用いている。

 一言で言えば「誠実」。その創業以来、受け継がれる誠実さと洗練された職人の技は、銀座の地でも確かに受け継がれている。伝統に裏打ちされた至高の味わいと、趣向を凝らした四季折々のサプライズを、ぜひ体験してほしい。

「てんぷら山の上Ginza」限定の特製天丼「豪麓」(ごうろく)。極上の活海老、魚介、野菜で構成される。6,800円
「てんぷら山の上Ginza」限定の特製天丼「豪麓」(ごうろく)。極上の活海老、魚介、野菜で構成される。6,800円

●SHOP INFO

てんぷら山の上 Ginza

店名:てんぷら山の上 Ginza

住:東京都中央区銀座6-10-1 GINZA SIX 13階
TEL:03-6264-5516
営:Lunch 11:00〜15:00(L.O 14:00)
Dinner 17:00〜23:30(L.O 20:30)
休:毎月第2水曜
夜は13,000〜20,000円のおまかせコースが3種。ランチはコース(6,000円〜)のほか、各種天丼(3,500円〜)も味わえる。