「木更津牛」を惜しみなくカレーに!「木更津カレー」と呼ぶべき贅沢な一品

まずは木更津市で明治30年より続く味処『宝家』が「木更津牛」を使って商品化した「WAGYU TAKARAYA 木更津牛カレー」からいただきます。レトルトカレーで2200円となかなかの良いお値段ではありますが、果たしてその味はどんなものでしょうか。さっそくレトルトを湯煎していただいてみます。

湯煎してレトルトの封を開けて驚愕。カレールー全体に「木更津牛」のほろほろになった肉がギュウギュウに詰め込まれている印象で、そのところどころにゴロッとした「木更津牛」の塊があります。

さっそくいただいてみましたが、「木更津牛」の旨みがカレールー全体に惜しみなく反映されています。黒々とした重厚な見た目よりもはるかに上品で、コク深い大人の味。また、辛さは控えめで、「木更津牛」の甘く深みある肉の旨みを引き出したインパクトを感じる贅沢な味です。いわゆる欧風カレーでもなければ、和風カレーでもない、まさしく「木更津カレー」と呼ぶにふさわしい一品。この味なら2200円も十分納得です!
霜降だが、脂身がしつこくなく、黒毛和牛本来の旨みを十分感じられる「木更津牛」

続いて、「木更津牛」を多く取り扱う食肉加工事業者・クレアスより取り寄せた「木更津牛カルビ冷凍セット」をいただきます。「木更津牛」は、カルビのほか、ハラミ、ホホ肉、ステーキ、ホルモン、しゃぶしゃぶ用など様々な部位が販売されていますが、2021年に誕生したばかりであり、流通量も少なく希少ですが、おおむね100g=1000~1500円と国産銘柄牛としてはリーズナブル。すでに「木更津牛カレー」で、木更津牛の旨さを味わった筆者としては、今回の「木更津牛カルビ冷凍セット」も迷うことなく焼いていただくことにしました。

筆者は「木更津牛」のカルビを、セラミックプレートがついたグリルで焼いてみたのですが、焼き始めて数分、すぐにグリルから炎が登りました。おそらく、カルビ肉の脂が火入れによって溶け出し引火したのだと思いますが、それだけ十分な霜降りであるということでもあります。どれだけの濃厚な味を楽しませてくれるのかと、自ずとテンションが上がります。

さっそく、焼肉のタレにつけていただきました。前述の通り、脂身の強いパンチがあるのだろうと思いましたが、意外や意外、実に上品な風合いです。霜降りの脂によるコクは確かにあるのですが、臭みやしつこさがなくペロッといただくことができました。むしろ、肉の旨みのほうが際立っている印象で、おそらくは脂身が実に繊細で、カルビ肉そのものが十分な旨みを持っており、バランスに優れた味を表現できているのだろうと思います。これはうまい!
地元・木更津市内でもまだ数店舗でしか味わえない希少な銘柄牛

全国のブランド黒毛和牛の中には、脂身の濃厚なパンチが味のインパクトになっているものもあります。もちろん、こういった肉も美味しいのですが、「脂身が強いのはちょっと……」「赤身のほうが好きなんだよな……」という人にはやや敬遠されることもあります。また価格的にも手が出しにくいということもあると思います。一方、今回いただいた「木更津牛」の場合、この両方の層を満足させてくれるような味であり、その調理の幅、加工の幅も広さ、価格もリーズナブルなのではないかと素人ながら思いました。
霜降なのに脂がしつこくなく和牛本来の旨みを感じられる味、そしてブランド銘柄牛としてはリーズナブルな価格の面からも、最初にいただいたカレーの商品化にも十分納得。「木更津牛」のパフォーマンスは、今後さらに広がっていきそうにも思います。最後に「木更津牛」をさらに世に広めようと奮闘している木更津市産業創業支援センター『らづBiz』の担当者の方に聞きました。
「『木更津牛』は、木更津市内の泰東牧場(たいとうぼくじょう)で飼育されたもので、2021年にブランド牛として誕生しました。飼育されている和牛をオリジナル配合した飼料を与え牛の健康を第一とし、牛の成長と共に飼料を変えて病気の少ない健やかな牛に育てあげています。
まだ駆け出しの銘柄牛で、木更津市内でも数店舗でしか味わうことのできない上質な木更津産黒毛和牛です。しかし、肉質は柔らかくジューシーで、舌の上でとろけるしつこくない脂の甘さと極上の肉汁がしっかりと味わえるため、A4ランク以上の格付けがされています。その脂はしつこくなくて大変食べやすく飽きがきません。木更津の大自然に囲まれて育った木更津牛を是非一度ご賞味ください」(木更津市産業創業支援センター らづBiz・担当者)
誕生したばかりでまだまだ生産数の少ない「木更津牛」ですが、その肉の美味しさから「大切な日や贈答品のお肉」として、今後更に選ばれていくように思えました。実にバランスの良い、そして良質の黒毛和牛本来の味を楽しめる「木更津牛」。今後の動向にも注目していただきながら、その味も是非一度お試しください!
(撮影・文◎松田義人)