調査内容:奈良県を代表するご当地ラーメン「天理ラーメン」の元祖と言われる『彩華(さいか)ラーメン』を調査。愛されている理由を探る!
日本全国には各地域に根差したご当地ラーメンが多数ありますが、日本屈指の宗教都市にももちろん存在しています。それが、奈良県天理市に存在する通称「天理ラーメン」です。
ネットであらかじめ調べてみると、赤みがかった辛味仕立てのスープと、麺の上に炒めた白菜がドッサリと乗った、一般的なラーメンとは明らかに違うルックスです。ここ天理の「ご当地ラーメン」として知られるからには、必ず美味しい味であるはず!
というわけで、今回はこの「天理ラーメン」の元祖と言われる『彩華(さいか)ラーメン(本店)』に、その味を確かめに行ってみることにしました。
「天理ラーメン」の元祖『彩華ラーメン』へ!
期待を胸に『彩華ラーメン(本店)』まで車を飛ばすと、想像以上に大きい駐車場がありました。その奥に店舗があるのですが、ここで目に飛び込んできたのは、入口の横に大きく掲げられた文字通りの看板メニュー「サイカラーメン」。昭和43年に天理市の屋台から誕生したというこのメニュー、ラーメンに白菜を乗せる「天理ラーメン」のスタイルの発祥として知られるもので、今日までその味を守り抜いているようです。
『彩華ラーメン』のメニューはこの「サイカラーメン」を中心に、チャーシュー、煮卵、生卵、白ネギなどのトッピングによって変化させたものがメイン。しかし、一般的な「醤油ラーメン」「味噌ラーメン」「塩ラーメン」の他、町中華の定番のチャーハンなどもありました。初めていただく筆者は、ここで最もスタンダードな「サイカラーメン」を注文しました。
ニンニク×辣醤のガツンとスタミナ味! 野菜の旨みも凝縮された衝撃の一杯
オーダーから数分、いよいよ「サイカラーメン」とご対面です。パンチあるニンニクと辛味の香りが食欲をそそりますが、まずはスープをすすってみましょう。
全体のビジュアルからすると、さぞやこってりしているのだろう、と思いきや、実にクリアな清湯スープがベースになっています。この丁寧に作られたスープに、「サイカラーメン」ならではの味付けがなされているのだと思いますが、今までに食べたことのない衝撃の味わいです。
前述のクリアな清湯スープに、ニンニクと唐辛子からつくられた辛味噌の辣醤(ラージャン)の味わいが加わり独特の辛さ、コク深さを与えています。さらに、野菜の旨みもスープに加わり、特に白菜の甘みを感じられ、より複雑な味を表現しています。これはヤミツキになる味わいです!
麺の上には、炒められたたっぷりの白菜、ニラ、ニンジン、豚肉などが乗っています。いわゆる「天理ラーメン」のアイデンティティとも言えるこの炒め野菜、芯のシャキッと感と葉部分の優しい口当たりの、2つの食感が楽しめる点が、まさに筆者好みでテンションが上がりました。
シャクシャクとした具材は野菜の甘みがたっぷりで、他方葉部分の野菜はスープを吸っていてこれがまた美味。野菜を噛むごとにスープの旨みが口いっぱいに広がります。
スープのパンチ、野菜の甘み、麺の風味を一口ごとに全て味わえる
そして、この絶品スープと野菜を合わせていただく麺ですが、細すぎず太すぎない、程よいウェーブのある黄みがかった小麦感あふれるもので、これがまた美味。野菜と一緒に口に入れた際、ウェーブの効果でスープの味わいが持ち上がり、箸がどんどん進んでいきます。
言い換えれば、スープのパンチ、野菜の甘み、麺の風味を一口ごとに全て味わうことができます。単にガッツリさせたご当地ラーメンは、他所で出会ったことがありますが、いわゆる「天理ラーメン」の元祖「サイカラーメン」はクリアなスープ、野菜などの甘味などがあり、味わい深い一方で、どこか滋味深く味わえる点も大きな特徴であり魅力のように思いました。
調査結果! あっぱれ「天理ラーメン」の元祖「サイカラーメン」がソウルフードたる所以とは?
山々と盆地エリアとの高低差が激しく、特に冬場は寒くなるという奈良・天理エリアにおいて、「体も心も温まる」この味わいが根付いた理由を、地元外の筆者にも少しだけ理解できたように思いました。
一口目から衝撃が走った「サイカラーメン」はスープ、野菜、麺と3度楽しめ、美味しさが幾層にも重なって食欲を刺激する至極のソウルフードでした。今までに食べたことのない、そしてここでしか出会えないであろうパンチの効いた味わいが天理の人々を魅了することにも納得。また、この味わいを日常的に食べられるなんて羨ましくも思いました。
一台の屋台から始まり、地元の人々に広く愛され、ソウルフードとして定着した『彩華ラーメン』の味わい。関西エリアにお立ち寄りの際には、ぜひ食べに行ってみてください。
(撮影・文◎松田義人)