【SCAJ2017】美しき電気サイフォンがボダムから登場【コーヒープレス古今東西 番外編1】

挽いた豆にお湯を注ぎ、時間が来たらレバーを押し下げる。そんな簡単ステップで珈琲豆の味わいが堪能できるコーヒープレス。家事の合間に、仕事の休憩に。初心者からプロまで使えるうえに、手間いらずで実用的。なのになぜか、知名度は今ひとつ。使えばきっと好きになる、愛すべきコーヒープレスの魅力をご紹介します。

【SCAJ2017】美しき電気サイフォンがボダムから登場【コーヒープレス古今東西 番外編1】
食楽web

 2017年9月に開催されたスペシャルティコーヒーの祭典『SCAJ2017』。レポート3回目は、この連載でも何度か紹介している、多彩なコーヒープレスを展開するボダム社のブースに足を運んでみる。目的は少しコーヒープレスと離れてしまうが、この秋ボダムから発売された電気によるサイフォン式コーヒーメーカーをぜひこの目で見たかったのだ。

 人気ブランドだけあって、ブースは多くの人が途切れずに出入りしている。手前のカウンターで試飲実演をしているのが電気のサイフォン式コーヒーメーカー「ePEBO」だ。

 ちなみに左に置いてあるのが、ボダム創設者のピーター・ボダム氏が1950年代にリリースしたサイフォン式コーヒーメーカー「PEBO(旧名:SANTOS)」。上部のガラス(ファンネル)にコーヒー豆、下部のガラス(ジャグ)に水を入れ、弱火で加熱すると蒸気圧を利用してコーヒーが抽出できる、という仕組みだ。紙やネルなどのフィルターを使わずに香り高いコーヒーを淹れられるこの技術がいかに革新的だったことか。

 香り高い味わいもさることながら、抽出する際の優雅な見た目も相まって、現在も多くの喫茶店がサイフォン式を取り入れている。しかし家庭用としては熱源が火、という点でちょっとハードルが高かった。それを「ePEBO」は解消してしまったのだからすごい。

 特許を取得しているフィルターの現物がこちら。60年前とほぼ同じものが「ePEBO」にも搭載されている。シンプルな構造で取り外して洗うのもかんたんだ。上と下のガラスをつなぐ部分に装着して使用する(写真下)。

 上部に豆、下部に水をセットするのは通常のサイフォンと同じ。電源を入れ、水がコーヒー抽出に適した97℃に達するとコポコポという音と共にお湯となって上部ガラスに上がっていく。その後、お湯の中にコーヒー豆を入れると、4分程かけて再び下部グラスに吸い込まれ、琥珀色のコーヒーへと変わってゆく。

 ※ブランド提供の抽出動画 https://www.bodum.com/jp/ja/11744-01jp

 サイフォン式ならではのこのプロセスは、まるで理科の実験を見ているような面白さ。ガラスの透明感が美しい丸味を帯びたデザインは、お部屋のインテリアとしてもスタイリッシュだ。抽出後に上部のガラスを取り外せば、最大30分間の保温が可能。

 値段は32,400円(税込)。電動の抽出器具と考えると高価な部類だが、サイフォンの味わいが手軽に楽しめ、インテリアとしても優秀、保温機能もあるという点を考えると、頻繁に買い換える物でもないし、満足度は高いように思う。家庭で使うのはもちろん、美容室などのサロンやオフィスでの利用など、人が集まる場にも向いていそうだ。

 さて、帰り際に嬉しいお土産をいただいた。まずはチロルチョコのボダムバージョン。人気商品をあしらったラッピングがかわいい。

 そしてもうひとつが、フレンチプレスの形をしたチャームとオリジナルのトートバッグ。バッグにはフレンチプレスとePEBOのイラストがそれぞれの面にプリントされている。

 実際に気になるアイテムを試せて、メーカーの方たちに直接話を聞くことができ、ときにはこんなステキなノベルティまでいただける幸運に出会うこともある。コーヒーの祭典『SCAJ2017』の楽しみはこういうところにもあるのだ。

●著者プロフィール

写真・文/木内アキ

北海道出身、東京在住。“オンナが楽しく暮らすこと”をテーマに、雑紙や書籍、ウェブなどで人・旅・暮らしにフォーカスした文章を執筆。プレスコーヒー歴7年。目標は「きちんとした自由人」。執筆活動の傍ら、夫と共に少数民族の手仕事雑貨を扱うアトリエショップ『ノマディックラフト』を運営中。
HP: http://take-root.jp/