群を抜いてウマい繊細な味わいのチャーハン

このチャーハンのスゴさは、パラパラ感としっとり感の絶妙なバランスにあります。
パラパラ感で言えば、(1)具材のハムやタマネギを同じサイズ感で丁寧に細かく切ってあること、(2)チャーシューの刻み具合がご飯に馴染む絶妙の塩梅であること、(3)米粒ひと粒1粒が、卵の薄い膜で覆われていること――などが、パラリとした食感を生んでいる理由ではないかと思っています。

そして、ご飯の炒め方をはじめ、具材の投入のタイミングに工夫をこらすことで、タマネギのみずみずしさやシャキシャキ感がちょうどいい具合に残り、口に入れた時に水分量がちょうど良いしっとり具合も同時に感じられる、というわけです。
当然、食感だけでなく味付けも素晴らしい。塩・胡椒、ごま油、醤油、そして中華スープの深い旨みも響き、尖った味や油っぽさが一切なくて、非常にまろやか。具材の味や食感も相まって、とにかく繊細な味わいなのです。
私は毎回、「チャーハンと半ラーメン」のセットをオーダーしますが、女性でもペロリと食べられる美味しさです。ぜひ『丸福』で“口福”必至のチャーハンを体験してみてください。
(撮影・文◎土原亜子)
●著者プロフィール
荒川治
東京都内在住のタクシー運転手。B級グルメ好きが高じて、現職に就き、お客さんを乗車させつつ、美味い店探しで車を回している。中年になってメタボ率300%だが、「死神に肩をたたかれても、美味いものを喰らって笑顔で死んでやる」が信条。写真検索で美味しそうなモノを選び、食べに行って気に入ればとことん通い倒す。でもじつは、自分で料理を作ることも好きで、かなりの腕と評判。