旅といえば、やっぱり「釜飯」がしっくりくるのだ。【ザ・キッチン道具マスター07出張編】

旅といえば、やっぱり「釜飯」がしっくりくるのだ。【ザ・キッチン道具マスター07出張編】
食楽web

かしこい道具さえあれば、腕はなくともおのずと料理のレベルはアップする。道具で楽しむ・道具でラクする料理エディター、Amiyumiの“道楽料理”、「出張編」。

 ローカル線の駅前や、街道沿いの食事処などでよく見かける「釜飯」の二文字。旅先で出会って嬉しい食べ物の代表選手といえばこれである。ふたを開けると、ふわーとけむる湯気の下に、鶏肉や山菜、きのこといった、素朴な具たちが顔をだす。しゃもじでそっとかき混ぜると、色つきごはんのところどころが、濃くなっていたり、お焦げだったり。だしとしょうゆの香りにうっとりする。

 一人分の小釜で炊く釜飯は、取りわけるのではなく、独り占めできるのがいい。豪華な食材は使っていなくても、その人のために炊く釜飯は、とても贅沢な料理といえる。マイペースでゆっくりと味わうのもよし、腹ペコでかっこむのもまたよし。だし、具、ごはんの味わいが三位一体となって、旅人の身も心もじんわりあたためてくれる。

 今回は、「ザ・キッチン道具マスター」の出張編・台北である。台北の中でも、中山エリアは、デパートや大型ショップが立ち並ぶにぎやかな界隈。そんなメインストリートの喧騒をのがれて、ひとつ路地を入ると個性的なブティックや飲食店が立ち並ぶ。その一角にあるのが、日式Tapas,釜飯専門店「HanaBi」だ。台湾で日本の釜飯とは珍しい。いまでこそ他店のメニューにも載るようになったが、店をオープンした10年前は、台北で釜飯といえば、ここ一軒だけだったという。この店にたどり着くまで、店主兼シェフのマイケル・オウさんもまた、長い旅をしてきた。

「16歳で台湾を出て、ニュージーランドに行き、約6年和食、約2年フランス料理の修業をしました。その後、日本に渡って更に和食を勉強し、2年半ほどたって台湾に戻り、日本の居酒屋文化を広めたいと思って和食の店を開いたんです。締めのご飯に取り入れたかったのが、釜飯でした」(マイケルさん)

 彼が日式=日本式にこだわるもう一つの理由が、日本酒である。店の開店当時から本格的な日本酒を取り揃えていたマイケルさんは大の日本酒好き。プロとしても利き酒師、日本酒学講師の資格を持ち、台北で日本酒のイベントを主催するなど、さまざまな活動を通して、台湾に日本酒ファンを広めている。

 店内に目を配ると、壁際のクーラーには日本酒がずらり。メニューを見ると、刺身や一夜干、焼魚など日本人にお馴染みの品が並ぶ。小龍包、牛肉麺、魯肉飯といった台湾料理も美味しいが、外国で食べる和食の味は、自分が日本人であり、一人の旅人であることを、実感させてくれる。

 マイケルさんが教えてくれたレシピは、もちろん釜飯。とはいえ、とろとろのチーズとトマトが決め手の洋風テイスト。食の異文化を巡ってきたマイケルさんらしい料理である。

旅といえば、やっぱり「釜飯」がしっくりくるのだ。【ザ・キッチン道具マスター07出張編】 旅といえば、やっぱり「釜飯」がしっくりくるのだ。【ザ・キッチン道具マスター07出張編】

【1】 和食と日本酒を心ゆくまで楽しめる、ゆったりとしたインテリア。

【2】 流暢な日本語で気さくに話をしてくれた、マイケル・オウさん。

【3】 店内から活気のあるキッチンの様子が伺える。看板には「はなび」の文字。

【4】 日本酒は種類が豊富で温度管理も完ぺき。日本でも入手が難しい銘柄も。

●SHOP INFO

HanaBi

店名:日式Tapas,釜飯専門店「HanaBi」

住:台北市中山北路二段20巷1-3號1F
TEL:+886-2-2511-9358
営:11:30~14:00、18:00~23:00
休:旧正月(台湾の暦による)