カリッと、しっとり、もちもちベーグル

ベーグルといえば、お店によってかなり食感が違いますよね。顎が疲れるくらい硬いものもあれば、ふんわりソフトなものもあります。『HIGU BAGEL』さんの場合は、ちょっと独特でして、外はカリッとしていて、中はしっとり。硬くないので噛み切りやすくて、それでいてモチモチしているんです。
噛むほどに粉の甘みを感じ、またナッツやカボチャ、緑茶など、練り込んだ素材の味も素朴で美味しいんですよ。3~4個食べても太らない気がするくらい(笑)、素材の甘さや風味をシンプルにベーグルで表現していると思います。

一番好きな食べ方は、クリームチーズを挟む方法です。お店でもよくいただきます。こちらの「クリームチーズ」というサンドイッチは、プレーン、メープルウォールナッツ、季節のフレーバー(夏はグレープフルーツ&オレンジ)からチョイスできます。私は、いつもベーグルの旨みをシンプルに味わいたいのでプレーンタイプをいただきます。トーストしてくれるのでカリッと香ばしく、これはベーグルを変えて2個は余裕でイケますね。

どうしてここのベーグルは独特な食感かつ粉の旨みがあるのか。店主の樋口詠美さんに聞いたところ、「ベーグルの製法ではあまりやらない“湯だね”を使うからなんですよ」って言っていました。
一般的なベーグルの作り方は、本ごね用の材料(強力粉・糖類・パン酵母・塩・水)をこねて生地にし、それを棒状に丸めて捻じって成型。それを数時間発酵させて、さらに茹でてからオーブンで焼きます。
通常のパンを作るより工程が多いべーグルですが“湯だね”製法の場合は、さらにもう1つ工程があります。本ごね用の生地とは別に強力粉、塩、湯(100℃)をミキサーにかけて熟成させておくんです。この“湯だね”を、本ごね用の材料と混ぜて生地を作るそうです。

「湯だねを使うことで、粉自体の旨みが引き出され、長時間水分を保持できるため、もちもちした食感が持続するんです」と樋口さんは言います。
また石窯オーブンで焼くことにより、遠赤外線効果で、外はカリッと焼き上げることができるそうです。
美味しさにはやっぱり理由があって、知恵と工夫と手間暇がかかっているんですよね。
ちなみにシナモンロールベーグルやベーグル生地で作ったピッツァ、明太子と餅をトッピングしたお惣菜系ベーグル、メロンパンベーグルなど、ほかでは見かけない面白いベーグルもあります。私は大量買いした時は、冷凍庫に入れて、食べる分だけ自然解凍し、トースターで焼きます。保存料が一切入っていないので、冷凍しておくのが一番です。こうすると焼きたてと同じ味わいで食べることができますよ。
場所はときわ台の駅から徒歩10分以上かかるのですが、ベーグルはお安いし、タクシーに乗って行っても、十分価値のある美味しさです!
(撮影・文◎土原亜子)
●SHOP INFO

店名:HIGU BAGEL&CAFE
住:東京都板橋区宮本町36-3
TEL:03-3960-3835
営:9:00~19:00(土日祝:~18:00)
休:第3月曜 ※第3月曜が祝日の場合は同水曜
http://www.higubagel.com
●プロフィール
荒川治
東京都内在住のタクシー運転手。B級グルメ好きが高じて、現職に就き、お客さんを乗車させつつ、美味い店探しで車を回している。中年になってメタボ率300%だが、「死神に肩をたたかれても、美味いものを喰らって笑顔で死んでやる」が信条。写真検索で美味しそうなモノを選び、食べに行って気に入ればとことん通い倒す。でもじつは、自分で料理を作ることも好きで、かなりの腕と評判。