沼のようなシステム

好きな食材を指定して、これでお願いします。という楽しみは、まるでかけて欲しい音楽をDJにお願いしたような気分。焼き上がる間は、目の前にある食材が常に目に飛び込んできますし、隣のお客様が頼んだ食材の香りにやられてしまい、ついつい追加でオーダを入れてしまう沼のようなシステムです(笑)。
焼き上がると掘返しベラと呼ばれる大きなしゃもじで目の前まで渡してくれます。
こちらは、宮島のしゃもじで特別に作っていただいたものだとか。
つい港区女子になってしまう
SNSで港区女子が寿司を一品、一品づつ写真を大量にあげている投稿を見て、なにしてんだかなぁ。と思っていましたが、すみません、、今ならその気持ちがわかります。
どれもこれも素晴らしい焼き上がりなので見ていただきたいのです。
それでは、ろばた焼きの素晴らしい焼き上がりを一気にご覧ください。


常連さんの裏メニューを教えていただきました
メニューにはない味噌ベースの焼きおにぎりをオーダし、ホタテ貝のバター焼きの残った汁をつけて食らう。これが、最高であり最幸の味だとか。





ご主人と息子さんで営む

焼台でお忙しいご主人の代わりに息子さんにお店の歴史を伺いました。
「創業は昭和55年。私が小さな時から父はここの焼台に立っていました。夜にここのお店でお客様と話しながら食べる、ホタテバター焼きが大好きでした。
父は旅が好きで、旅先でインスピレーションを受けてメニューにしていますね。
小型船舶の免許も持っており、沼津に釣りに行ったりして、その食材などもお店に並べています。実はバブルの後に、絶滅(閉店)の危機に陥ったことがあったのです。その時に父が各地域の食材を集め炉端に並べてみたところ、それを求めてお客様が帰ってきてくれて、今にいたっております。」
息子さんは昼間は臨床検査技師をされながら、夜はお父さんのお店を手伝っているとのこと。素晴らしい昭和の文化のお店を繋いで欲しいと願うばかりです。
カウンターの隣にいたお客様と仲良くなり

「地元で美味しい『ろばた焼き』があると聞いて初めて来たんだよ」
カウンターの隣にいたお客様との会話も弾みます。なんだか心がほっこりしてきた私が、「この近くでもう1杯くらい飲めるお店ありますかね?」と聞いたところ、「よし、俺がつれてってやるよ。」と。結局、初めてお会いした方に次のお店を奢っていただくことになりました。なんとも昭和っぽい展開(独断と偏見)。
美味しい料理とカウンターは人の心を近づけます。知らない町で知らない人と出会い、最高の食材を食らう。こんな贅沢ができるお店が、富士吉田にはあります。みなさまぜひ足を運んでみてください。

●SHOP INFO
ろばた焼き 富久松
住所:山梨県富士吉田市下吉田4-2-30
tel:0555-24-3223
営:月~土 17:20~23:00 (L.O 22:30)
休:日
●著者プロフィール
鈴木英司
某IT企業役員 1977年横浜生まれ。 普段はデジタルを追い、土日は未だドアを開けたことのないお店を訪れ昭和へのタイムリープの扉を探す。好きな場所は路地裏。
(編集◎ヨネダ商店)