いざザリパ会場に潜入!
皆で集まりザリガニを楽しむ「ザリガニパーティ」は、今や日本でも広く知られている夏のスウェーデンの伝統行事です。ザリガニ漁が解禁となる8月に、家庭の庭で催すものなのだとか。ザリガニという旬の食材はもちろんのこと、大勢でパーティできるような庭があることが、羨ましすぎませんか……!
ランタンを吊るしてパーティ用の飾りつけをし、捕まえたザリガニ(場合によっては冷凍ものを買う)を茹でて冷やし、蒸留酒とともに味わい、深夜まで楽しむといいます。
そんな本場のザリパに想いを馳せながら、少しでもそのエッセンスを体験させてくれるIKEAには、大感謝。会場に入ると、テーブルセッティングも会場のテーマカラーもザリガニ尽くしで、雰囲気抜群でした。
パーティで提供されたのは、おそらく中国産の養殖アメリカザリガニです。本場ではもともと、大型のヨーロッパザリガニを食べていたようですが、昨今は環境の変化などにより数が減少。
その代替品としてウチダザリガニに、このザリパではさらなる代替として、アメリカザリガニに……となっているようです。しかし小ぶりでも、うま味はバッチリ。文句なく、ンまい!
ザリガニの身はクセがなく、カニの身によく似ているものの、若干さっぱりめな印象。頭部のミソ(別名・ザリガニバター)は、香り豊かでねっとり濃厚。カニミソならぬザリミソは、酒がすすみ過ぎること間違いナシの珍味です。
現地では日本における麺類のように“すする”という食習慣はないものの、ザリガニだけは例外だといいます。皆、音をたててチューチューすすって味わい尽くすのがお作法だというからますます楽しい。お行儀悪く手を汚しながら殻の隅までエキスを吸い尽くすひとときも、手軽な非日常体験! 全部ひっくるめて、夏の味わいでしょう。
バリバリと殻をむく作業に熱中して次第に無言になってゆくなかで、ちょっとしたザリガニ・ハイ(勝手に命名)の感覚も覚えました。満腹になっても、冷やされたザリガニで指がかじかんできても、殻をむく手が止められないやめられない。味変に用意されているソースも必要とせず、ひたすらにザリガニをすすり続けました。ザリガニだけで全身が満たされていく、不思議な時間……。
1年分のザリガニを食べたかな! と思える程には、満喫させていただきました。
ちなみに日本における食用ザリガニで有名なのは、かつてアメリカから食用として移植されたウチダザリガニです。1930年に北海道の摩周湖に放流され、人の手によって分布を広げたという経緯があります。
しかし今は特定外来生物であり、駆除の対象とされています。しかも密放流によって生息域が広がっているため、福島県などでは捕って食べるイベントも開催されています。アウトドア派は、キャッチ&イートにもぜひ挑戦を! ウチダザリガニは、高級店でも扱われており、味のよさに定評があります。
とにかく暑い暑い今年の夏。冷やしてもおいしく際限なく食べられるザリガニは、暑気払いにもぴったりかも!? 楽しく美味しくたっぷり食べて、元気に乗り切りましょう。
●DATA
IKEA
https://www.ikea.com/jp/ja/
●著者プロフィール
ムシモアゼルギリコ
フリーライター。記事の執筆のほか、TV、ラジオ、雑誌、トークライブ等で昆虫食の魅力を広めている。昆虫食だけでなく、一般の食卓では見かけないような食材を追うのが好き。著書に『びっくり! たのしい! おいしい! 昆虫食のせかい むしくいノート』(カンゼン)、『スーパーフード! 昆虫食最強ナビ』 (タツミムック)