
コロナ禍真っ只中の2022年、甲州街道沿いに新たな雑居ビルが建った。その2階に入居してきたのが『ミャオミャオ』である。店主の宮尾祐平さんはタイ人シェフたちとタイ語で渡り合いながら修業し、なんと現地の寺院で出家した経験の持ち主。料理の味わいが本格的なだけでなく、店内の至るところにアジアの調味料や家具を陳列し、現地の屋台の雰囲気を見事に演出している。

「本格的なタイ料理を食べられる居酒屋を目指しています」とは、宮尾さんの言葉。日本人の味覚に合わせたタイ料理のアレンジも抜群に上手く、しかも酒好きを喜ばせる絶妙な味付けがたまらない。

たとえば「ミアンプラートゥー」という料理から着想を得た「ミアンねぎトロ」は、タイの豆味噌やナンプラーを効かせながらも、日本人に馴染み深いねぎトロやエゴマの葉を使い、「本場の味!」という感動とどこか親しみやすい味わいを両立している。

タイの老舗漢方屋から直輸入している漢方を焼酎に漬け込んだ「タイ薬膳ハイボール」も見逃せない。疲労回復、免疫力アップなどさまざまな効果効能が期待できる全8種。パクチーやレモングラスを使った「生タイハーブサワー」も、メニュー名だけ聞くと奇をてらっているようだが、しっかりおいしい。センスの光る名店である。
※『食楽』(本誌)の情報を抜粋。2023年11月6日時点での掲載情報です。
(撮影◎上田佳代子 文◎吉田彩乃 構成◎岡野孝次)