幻の天然スイーツ「ミツツボアリ」をオーストラリアまで食べに行ってきた【実食レポ】

幻の天然スイーツ「ミツツボアリ」をオーストラリアまで食べに行ってきた【実食レポ】
お腹に蜜を貯めたミツツボアリ | 食楽web

●オーストラリアの先住民族・アボリジニがおやつとして食べているというミツツボアリ。お腹にたっぷり蜜を貯め込んだその味わいとは? 昆虫食に精通する吉田誠氏が、現地に飛んで実食してきた。

 お腹に蜜をたっぷり貯め込む「ミツツボアリ」をご存知でしょうか? TV番組「クレイジージャーニー」や、漫画『美味しんぼ』でもとりあげられたことがあり、その味わいは「天然の極上スイーツ」とのウワサ。

 ミツツボアリは北アメリカやオーストラリアの乾燥地帯などに生息するアリ。群れの中の働きアリとは別に、タンク役となるアリがいるのが他のアリとは違う点です。体の中に貯めた蜜は、群れの保存食とされます。オーストラリアの先住民族アボリジニは、このミツツボアリをおやつとして食べてきました。

 しかし、日本では限りなく入手が難しいのです。昆虫食愛好家の中でも、食べた話をほとんど聞かない超レア食材。日本ではごく一部の愛好家が北米産のミツツボアリを飼育していますが、食材として入手して食べるのはまず不可能でしょう。

 甘くて美味しいのか、それとも他のアリのように蟻酸(ギ酸)で酸っぱいのか、または両方あって甘酸っぱいのか……? 海外で食用昆虫の養殖を研究し、各地の食用昆虫を食べてきた筆者も、ミツツボアリを食べたことはありません。何としても一度は、味を確かめてみたいと思っていたのです。すると、今年の8月。嬉しい連絡が飛び込んできました。

「オーストラリアでミツツボアリを食べられそうです」

 海外の昆虫に詳しい知り合いからの連絡でした。ついに、念願のミツツボアリが食べられる! しかし驚き&喜びと同時に焦りが込み上げてきました。何しろ、連絡をもらったその時点で、タイムリミットまでの時間は約1ヶ月だったからです。

 南半球のオーストラリアでは、夏が近づくと気温が高くなりすぎ、乾燥地帯に生息するミツツボアリを探しに行くのが困難になるのです。採集時期は限られ、10月に入ればまず難しくなるとの話。そこで、いまだかつてないスピードで渡航や仕事の調整を行い、ヘトヘトになりながらオーストラリアの西オーストラリア州へ向かいました。待ってろよ、ミツツボアリ……!