いちど食べたらやみつきに! 香り高い「にんにくスープ」

『味のレストラン えびすや本店』があるのは、JR「千葉」駅東口から徒歩5分の場所。この付近は「裏千葉」と呼ばれ、最近おしゃれなお店が増えていて、街歩きが楽しいエリアです。オーナーシェフの斉藤さんは、県内のホテルやレストランで修行後、父親からこの店を引き継ぎ、二代目として切り盛りしています。
「にんにくスープの材料はとってもシンプル。国産のにんにくとチキンブイヨン、パンのバターロールの3つだけです。」と話す斉藤さん。シンプルといいつつも、ブイヨンは鶏ガラを4時間かけて煮込んだもの。しっかりと鶏の旨みが凝縮されたブイヨンです。スライスしたにんにくとバターロールを低温でじっくり炒め、ブイヨンで煮込んで完成します。

オーダーが入ると、陶器の器に盛り付けて器ごと火にかけ、グツグツと沸騰したら卵を入れて完成です。テーブルに熱々のにんにくスープが運ばれてくると、その香りだけでもうたまらない気持ちになります。

スープをひと口啜ると、にんにくの良い香りが広がります。想像していたより、かなりマイルドであっさりとしています。これは旨い! たっぷりニンニクが入っているのに、いわゆるニンニクのキツイ臭みはなく、やさしくてとってもまろやか。チキンブイヨンと塩で整え、すっきりとした味わいです。ランチセットでは、ライスとパンが選べますが、ここはぜひパン屋さんに特別注文しているフランスパンをチョイスして、スープに浸して食べるのがおすすめです。
ランチのいちばん人気はハンバーグ

ランチは、日替わりやパスタ、シーフードピラフ、オムライスなど9種類から選べます。筆者のおすすめは、特製のデミグラスソースでいただく「ハンバーグ」です。ランチセットには、サラダ、ライスまたはパン、ドリンク、デザート付きで、さらに「にんにくスープ」が付くので、とってもお得です。

ハンバーグは豚と牛肉の合い挽きで、ランチは140gとちょうどいい量。特製のデミグラスソースは、牛すじを2週間かけてじっくりと煮込んで作るスペシャルなソースです。これは家庭では絶対に出せない「ザ・洋食屋のハンバーグ」という王道の味。そして驚くのは、付け合わせが美味しいこと。特にニンジンの美味しさは感動モノで、ベーコン、バターと一緒に煮るという“ひと手間かけた”付け合わせです。
辛みがやみつきになる「スペインおじや」

王道の洋食店でありながらも、楽しいオリジナルメニューも。紹介したいのは、「スペインおじや」なるメニューです。「スペイン=熱い=辛いと発想を飛ばし、辛いおじやを作ってみました。」(斉藤さん)。ビーフブイヨンにカイエンペッパー、チリパウダーを入れて煮込んだ、結構キリッと辛いおじやです。

具沢山で食べ応えも十分です。こちらも「にんにくスープ」同様、中央には卵がひとつ入っています。しっかりと辛いおじやに、卵を絡ませていただけばマイルドな味わいに。これはやみつきになりそうな一品です。
まとめ
味のベースとなるブイヨンやソースに、じっくりと時間をかけて作る王道の洋食はどの料理も絶品でした。丁寧な職人の仕事が施された、土日は予約なしでは入れないほど人気の『えびすや』。名物の「にんにくスープ」は他にはない味わいで、いちど食べたら忘れられない味です。予約してから出かけたい、地元の名店ですよ。
●著者プロフィール
矢巻美穂(やまき・みほ)
国内外の旅行雑誌を中心に活動するカメラマンで、撮影から執筆・編集作業まで行う。単著としてネパール、台湾、ウズベキスタン、韓国、ウラジオストクなどのフォトガイドブックを執筆。近著は『東京で台湾さんぽ』(イカロス出版)。また、YouTubeで「旅ちゃんねる MinMin Tour」をオープン。これまで取材に行って、本当に美味しかった店や行ってよかった人気スポットを紹介。