いつかは自作の酒器を。そして、新春描き染め体験も楽しそう!【酒器も肴のうち】

お酒をつぐ器、お酒を飲む器。酒器に思いを巡らせると、気になってくるあの人のお気に入りや、あのお店のセレクション。酒器を愛でて一献傾けるのが好きなライターによる酒器折々、酒器こもごも。

いつかは自作の酒器を。そして、新春描き染め体験も楽しそう!【酒器も肴のうち】
食楽web

 今年最後の『酒器も肴のうち』。第28献のお相手は、先週に続いて陶芸工房併設ギャラリー「工房一ノ陽」主宰の上田ゆき子さん。

 お酒をたしなむ習慣がない上田さん。案の定、お酒の話題はさほど盛り上がらなかったというのは前回ご紹介した通り。今回はギャラリーで展示販売している酒器を拝見しながら、併設の工房についてのお話などをうかがった。

「展示している作品は陶芸仲間や陶芸家の先輩のものもあれば、趣味で作陶している方のものなど多彩です。偶然だと思いますが、身近に建築家で陶芸に興じる方も多くて、おおらかな作風で味わいがありますね。気のせいか、豪快で大ぶりな酒器を作る人はどちらかというとお酒好きだったりするかも」

 荒々しい土目のものもあれば、ざらついたりつるっとした質感だったりと、手に取って土の感触の違いを比べるのも楽しい。土ものの中に上田さんが骨董市で見つけた古い磁器のお猪口が混じっているのもディスプレイの妙。不思議と心がほぐれる。敷居が高くて入りづらいギャラリーにはない気さくな雰囲気が漂っている。酒器が豊富に揃っているわけではないが、なにか面白いものと出会えそうなそんなギャラリーだ。

 ところで、お酒好きなら酒器づくりに挑戦したいと思う人もいるのではないだろうか。実は筆者もその一人だ。これまで陶芸体験は何度かあり、皿や茶碗の類いには挑戦したが酒器は作ったことがなかった。もっか燗酒の相棒を募集中なのだが、お気に入りを探すか、自作するかはこれからゆっくり考えるとして、それよりも、作陶よりハードルが低そうな絵付け体験の話を聞いたので、そちらをご案内したい。

「工房一ノ陽」の新春恒例、書き初めならぬ描き染め体験がそれだ。あらかじめ用意された素焼きの器に思いのまま絵付けをするというもので、絵心がある人もそうでない人も楽しめそうだ。家族や友達、もちろん単独での参加もOK。絵付けはちょっと…というのであれば、愛飲の日本酒の銘柄を記すもよし、お酒で一句詠んでもよし。新春に描き染め、ちょっといいかも。

●DATA

工房一ノ陽

工房一ノ陽

相鉄線天王町駅から徒歩4分。静かな路地裏にある陶芸工房併設ギャラリー。陶芸教室ではお試し制作体験も可能(手びねり2,800円、電動ろくろ3,300円)。新春描き染め体験は1月5日(金)~8日(祝・月)14時~17時予定(素材がなくなり次第終了)。来店随時対応、電話予約不可。詳細はブログ内お知らせ欄にてご確認を。

●INFORMATION

住:神奈川県横浜市保土ケ谷区天王町1-6-2
TEL:045-335-6565
※営業日時はHPにてご確認ください。

●著者プロフィール

取材・文/笹森ゆうみ

ライター。蕎麦が好きで蕎麦屋に通っているうちに日本酒に目覚め、同時にそば猪口と酒器の魅力にとりつかれる。お酒、茶道、着物、手仕事、現代アートなど、趣味と暮らしに特化したコンテンツを得意とする。