“天然もの”のたい焼きは薄皮にたっぷりのあんこ。感動的な旨さ

淡いきつね色に焼き上がった、柳屋の「高級鯛焼」(180円)。いい顔してるじゃないですか! それでは実食です!
皮はパリッパリの薄めタイプです。焼きたてを割るとホカホカの湯気がモワッ~と立ち上り、中からどっさり入ったつぶあんがあふれてきます。

「小豆は十勝産。その日の朝作ったばかりの熱いあんこを使っています」と竹内さん。アツアツをほおばると、皮はパリッとしながらもモッチリ感もあります。あんこは頭のてっぺんからしっぽの先までたっぷり。

創業者が製あん所出身というだけあり、このあんこが本当に素晴らしい。甘すぎず小豆の風味がしっかりと感じられる洗練された味わい。
この上品なあんこを薄皮がうまくアシストし、また逆に小豆の味わいが香ばしい皮を引き立ててもいます。もう両方主役と言ってよいほど最高の相性です! 1つで充分な食べごたえがありますが、あんこが甘すぎないせいか、どんどん食べたくなっちゃう。

1つから購入できますが、6個、10個、12個~の場合、おみやげ用の箱入りにもしてもらえます(別途箱代が必要)。実際、おみやげ用とは別に、自分自身の食べ歩き用に1~2個買っていくお客さんがたくさんいました。

ちなみに、店内の札には「高級鯛焼」と書いてあるのですが、これは砂糖が不足した戦時中に「たい焼きが砂糖をたっぷり使った高級お菓子」であることをアピールした名残りだそうです。
たくさん買って食べきれない場合は、翌日まではそのまま冷蔵保存でも大丈夫ですが、それ以上保存する場合は1つずつラップでくるんで冷凍庫へ。いただく時は電子レンジで20秒ほど温めて、そのあとトースターで皮をパリッとさせるのがオススメだそうです。でも、もちろんやはり焼きたてに勝るものはありません! できるだけ早くいただきましょう。
アイス最中も小豆の風味がしっかり楽しめる逸品

忘れてはならない、柳屋のもう一つの名物は、アイス最中(180円)。3代目が子どもの頃から販売されているというロングセラー。バニラと小倉があり、季節を問わず1年中販売されています。
もちろん小倉はたい焼きと同じ自家製あんこを使用。こちらもたい焼き同様、すぐにかぶりつきたいところですが、カチカチよりも少し柔らかくなってからのほうが小豆の風味を堪能できるので、冬場は急がずにじっくり待つことをおすすめします。
「目が届かなくなるから」と支店を持たず、味も変わり種は作らず小豆一筋の老舗・柳屋さん。かつては住み込みで働く職人さんが大勢いて、周辺の料亭や証券会社からの大口注文がたくさんあったそうです。
「いま、焼いている職人は5人。1日多くて1500個くらい出るかな。変わらないこの味を、これからも守り続けていきたいですね」(竹内さん)
完璧なるたい焼き。この味、この文化、いつまでも守り続けていってほしいものです。そしてまだ未体験の方は、天然物のたい焼きのおいしさをぜひご賞味あれ。
(取材・文◎松みのり)