串焼きが50種! 串の種類の多さに圧倒される

このお店の最大の特徴は、テーブルに据え付けられたロースターで、お客が自ら串を焼いていく点です。中国では朝鮮族(中国国内に住む朝鮮系の人)のお店でこの形態が多く、私も北京在住時に足しげく通いました。昔は手でくるくる回して焼いたのですが、今は全自動。セットして放置しておけばどんどん串が焼けていく夢のマシーンとなっています。その肉が焼ける過程を見ているだけで胸がワクワク。なぜ人は肉が焼けるのを見ると心が躍るのか。永遠の謎であります。

わかりにくいんですが、串の根元に歯車があり、自動的に串がくるくると回る構造なんです。たまに焼き具合を見るだけで、話しながら飲みながら焼きたての串をどんどん食べられるこのシステム、超便利です。しかも上部にせり出したダクトが煙を吸うので目の前でもくもくと煙が上がっているのに、服に匂いが付いたりもしません。

メニューはたくさんあるのですが、例えばベーシックな羊肉串10本で950円といった感じ。肉は小ぶりですが、この大きさがパクパクいけて丁度いいのです。間に挟まった脂を焦げる寸前までカリカリに焼いて、スパイスや卓上のソースをつけていただきます。
ちなみにこちらのお店、羊だけではなく、牛・豚・鶏と約50種類の串焼きが楽しめます。例えば日本ではなかなかお目にかかれない、コリコリと美味しい牛の大動脈(1串180円)、独特の羊の香りがたまらない羊の肝臓(1串500円)など、さすが食い倒れの国・中国らしいと思わせる珍しい部位も多数。1回ですべてのメニューはとても食べきれません。

そして、肉以外のサイドメニューや冷菜も非常に美味。串焼きの合間に冷菜で箸休めし、その後さっぱりした口でさらに串焼きを食べるという、“無限羊肉串状態”に陥ります。個人的には、ほくほく感がたまらない「じゃが芋」(1本100円)、香ばしい「マントウ」(1本180円)などもおすすめです。

もうとにかくメニューが豊富で、かつ店の雰囲気を含めて情報量が多すぎる店なので、ぜひご自身でお店に行って体験してみてください。中国で今ブームの「庶民的な料理をポップな雰囲気のなかで楽しむ」という独特の雰囲気を肌で感じられますよ。
●プロフィール
菊池一弘
羊齧協会主席。羊肉を常食する岩手県遠野市出身の父の影響で、羊肉料理に親しんで育つ。北京留学中に現地の味に触れ、その魅力に開眼し羊好きの消費者団体「羊齧協会」を結成。本業は、イベントの開催・運営、場作りのプロとしてのアドバイザー業務などに携わっている。最近は四川フェスの運営団体麻辣連盟の幹事長も兼務。