一皿で楽しみいっぱいのオリジナル・ペペロンチーノに感激!

入店して、「東京ペペロンチーノ」の並(600円)を注文しました。ちなみに、お店は1階と2階がありますが、1階はスタンディング。つまり、1階で食べると立ち蕎麦ならぬ“立ちスパ”を食べることになるわけです。
代金を支払うと、番号の書かれたレシートをくれるので、好きなカウンターの場所で待ちます。前述の通り、メニューに「すぐできます30秒」というコピーが書かれていたので、ホントかな? と思ってスマホのタイマーでカウントしてみると、キッチリ30秒で番号を呼ばれました。なんという速さ&正確さ! もちろん麺は茹で置きだと思いますが、同じく茹で置きナポリタンで有名な『スパゲティーのパンチョ』でもこんな高速で提供されることはないので少し驚きました。そして登場したのがこちら。

見た目はかなり太めのパスタで、細めのうどんかと思うくらい。そしてスープを吸ってふっくらとしています。具はなく、唐辛子とパセリがちらほら。実にシンプルです。でも、ニンニクとオリーブオイルの香りをひと嗅ぎすれば、「これは間違いなく美味しいはず」と確信。それほど良い香りなのです。

箸でつかんで食べてみると、パスタはツルツルした口当たりで、噛むとモッチモチ。そこにニンニクが効いた魚介の出汁がしっかり染み込んでいて、噛めば噛むほどそのダシと小麦粉の旨みが口中に広がっていくのです。
つまりこれ、イタリアのペペロンチーノとはまったく違う食べ物なんですね。アルデンテでもないし、ニンニクとオリーブオイルだけの味付けでもない。イタリア人が食べたら「違う!」と怒るかもしれませんが、これはあくまで“東京”のペペロンチーノ。イタリアにはないナポリタンのように、この東京ペペロンチーノもニッポンで独自進化を遂げたパスタ料理と言えそう。そして多分、これを食べたらイタリアの人もきっと気に入ると思います。

この東京ペペロンチーノ、味変も自由自在です。というのも卓上にガーリック、コショウ、粉チーズ、タバスコなどがズラリ。特に注目は、「ゆ」と書いてあるスパイス。これ、回すと削りたてのゆかりがパラパラと落ちてきます。パスタにかければ、紫蘇の香りが爽やかな和風スパゲティに変身するわけです。これがまた美味しくて、「ナイスアイデア!」と喝采を贈りたくなります。

麺を食べ終わってからも、東京ペペロンチーノのお楽しみはまだ続きます。そう、前述した「〆リゾ」。パスタを食べ終えると残るスープに、おまけでついてくるご飯を入れて自分で作る〆リゾットです。

卓上のガーリックや粉チーズなどで好みの味に仕上げていきます。ちなみに店のオススメは、粉チーズをたっぷり振り、そこにゆかりも入れる味付けだそうです。

ご飯にスープがよく染み込むように混ぜて食べてみると、これがめちゃくちゃ美味しい!お皿を舐めるように綺麗に食べ、さらにおかわりしたくなるほどでした。この東京ペペロンチーノ、スゴいかも!

最後にお皿をカウンターに返してごちそうさま。この時、多くのお客さんが「美味しかったです」、「〆リゾ最高ですね」、「今度は特特を食べます」などと、お店のスタッフさんに声がけしていたのが印象的でした。
というわけで、筆者はこの「東京ペペロンチーノ」にすでに週に2~3回ペースで通っています。何しろ安い、早い、ウマい、そして楽しい。昭和のナポリタンのように、この東京ペペロンチーノが日本中に広まればいいのに、とひそかに願っています。
(撮影・文◎土原亜子)