谷中・千駄木とともに「谷根千」と呼ばれる東京屈指の下町エリア・根津。その根津に、からあげと卵かけご飯がめっぽう旨い行列のできるお店があるとの情報をゲット。さっそく行ってきました。
お店は、根津神社のすぐ近く、不忍通り沿いにありました。その名も『下町たまご食堂 一卵亭』。店名からもわかる通り、卵や鶏肉を駆使してつくる料理が自慢のお店で、当然からあげも絶品との噂。
今回、オーダーしたのは名物の「一卵亭 唐揚げ定食」(1160円)。ご飯、味噌汁、鶏のからあげ、生卵、お新香がセットになっています。まず目に飛び込んでくるのは、お皿に盛られた大ぶりのからあげ×4。国産鶏のモモ肉を使用しているそうですが、なんともすごいボリューム感です。
そのからあげをひと口ガブリ! ひと噛み目でいきなり驚かされたのは、濃い旨みが舌にダイレクトに飛びついてくること。ショウガの風味が強く、実に爽やかです。
そして、衣の見事なまでの薄さに驚愕。いや、薄いというよりも肉との一体感が素晴らしい! 一般的なからあげの場合、まず衣の食感を楽しんでから肉へ、というステップを踏みますが、こちらは最初に肉の旨みが飛び込んできて、徐々に衣が肉になじんでくる印象。ひと口目から「ウマい!」と声を上げたくなるのをグッとこらえて食べ続けます。
ショウガをたっぷり使った醤油ダレにしっかり漬け込んでいるそうで、肉もフワッと柔らかい。噛み進めると、舌の上に残った旨みが消えてしまわないうちに、次の旨みがそこに覆いかぶさります。旨みが徐々に膨らんでいくかのような感じで、これはもう何個でも食べてしまいたい! そんな魔力を秘めたからあげです。
定食に付いてくる生卵は「サンキの濃卵(こいたま)」という『三喜鶏園』(群馬県高崎市)のブランド卵。選ばれしお店にしか卸しておらず、市販はされていないという逸品で、この卵で作る卵かけご飯、いわゆる“TKG”がまた最高なのです。
いざ卵かけご飯を作るべく、生卵をご飯にかけようとしていたところで、「まずはご飯をそのままどうぞ」と女将さん。お米は宮城・山形産の「ひとめぼれ」で、しかも新米とのこと。言われるがままにそのまま味わってみました。ほどよい粘りと甘み、そして新米特有の旨みもしっかり感じられます。うーむ、これは美味! おかずなんていらないんじゃないか? と思えるほど。お米の国に生まれてよかった~! と改めて思える美味しさでした。
ご飯の美味しさを存分に楽しんだら、ご飯に卵を流し入れ、カウンター上の自家製出汁醤油をかけて、お待ちかねのTKGに移行します。卵が濃厚でほんのり甘く、出汁醤油がいいアクセントになって、からあげ⇒TKG⇒からあげ…というループが止まりません。もはやどちらが主役かわからないほどの美味しさです。
根津界隈は観光スポットも多く、遠路はるばるやってくる人も多いエリア。休日のランチタイムは、そんな人たちがお店の前に行列を作ることも。たまごかけご飯のセットや親子丼、オムライスなどもあるので、からあげ好きだけでなく卵好きの人も必見のお店です。
●SHOP INFO
店名:下町たまご食堂 一卵亭
住:東京都文京区根津2-37-1
TEL:03-5834-8909
営:8:00~15:00(14:30LO)、17:00~20:30(20:00LO)
土曜11:00~15:00(14:30LO)、17:00~20:30(20:00LO)
休:火曜
●著者プロフィール
松本壮平
ライター・編集者。一般社団法人日本唐揚協会認定カラアゲニスト。生まれも育ちも「からあげの聖地」である大分県中津市。美味しいからあげを求めて東奔西走する「から活=からあげ探索活動」に明け暮れている。