香り高い鶏の半身揚げに大感動!

さっそく半身揚げをオーダーしましたが、もちろんビールもいただきますよ。メニューには10種類のクラフトビールが並んでいます。どれにしようかと悩んでいると「半身揚げにはボタニカルファームハウスエールがオススメです」と店長の渡辺佳希さん。
聞けば“揚げ物に合うビールを”というコンセプトで開発されたエールだそう。4種のハーブ(レモングラス、バイマックルー、ブラックペッパー、コリアンダーシード)をブレンドしており、国内外のビールコンペティションでの受賞歴もあるビールだとか。これは珍しいですね。ぜひいただきましょう!

オーダーから15~16分ほどで半身揚げのお出まし。まずは渡辺店長おすすめの「ボタニカルファームハウスエール」(Rサイズ・680円)で口を潤します。クセがなく、優しい口あたりのビールです。苦味は控えめで、フルーティ。うーん、ウマい!
そして、いざ半身揚げへ。香ばしく上品な香りが漂い、これだけで食欲にエンジンがかかります。カラアゲニストとして、これまでいろんなお店の半身揚げを食べてきた筆者ですが、ここまで香り高い半身揚げは初めてです。まずは定石通り、ムネ肉から。しっとり柔らかく、一瞬「モモ肉?」と思ってしまうような食感です。

旨みも十分で、しかも味に深みを感じるのは、岩塩やニンニク、ショウガ、昆布などを使った漬けダレに2日間漬け込んでいるから。一般的な半身揚げの味付けは塩のみ、という店も多いのですが、そこまでさまざまなものを使っているとは! 肉の旨みだけではない、豊かな味わいが口の中で踊るようで、食欲が加速していきます。ムネ肉のジューシーな食感も、十分な漬け込み時間の賜物でしょう。
そしてモモ肉を食べると、さらに納得。豊潤な味わいの中に、かすかに上品な甘さも感じます。舌も心もほっこりさせてくれるような癒やし系のナチュラルな甘みです。歯ざわりがとても軽やかで、肉は骨からホロッとはがれ、絹ごし豆腐に歯を入れたときのようにスルリと歯が肉に入っていきます。

そしてこの上品で豊かな味の半身揚げと、フルーティで爽やかなクラフトビールがまためちゃくちゃ合う! 合間にビールをいただくと、口の中がさっぱりするだけでなく、爽快な余韻をしっかりと残してくれて、それが次の半身揚げのひと口にいざなってくれる…という無限ループで、食べる手が止まりません。
ちなみに、半身揚げは素揚げなので、当然ながらからあげや竜田揚げのような衣はついていません。しかし表面の鶏皮が、それを補って余りある美味しさ! 皮にもしっかりと味が付いていて、これだけでビールが2杯はいけそうな最強おつまみです。

冒頭でも書いたとおり、筆者の個人的半身揚げランキングを揺るがすほどに美味しい半身揚げでした。これはぜひまた近いうちに食べてみたい! 美味しい出会いに感謝しつつ、クラフトビールでいい気分になりながらお店を後にしたのでした。
●著者プロフィール
松本壮平
ライター・編集者。一般社団法人日本唐揚協会認定カラアゲニスト。生まれも育ちも「からあげの聖地」である大分県中津市。美味しいからあげを求めて東奔西走する「から活=からあげ探索活動」に明け暮れている。