ムネ肉感がないほどにやわらかい肉質のムネ肉からあげ

オーダーから6~7分で、やや大ぶりのからあげが登場です。衣に歯を当てると一瞬「ガリッ」という感触がありますが、それはすぐに「ジャリッ」に変わり、肉に吸い込まれるようにじわじわと溶けていきます。衣にはオリジナルの特製からあげ粉を使用しているとのこと。心地よい歯ざわりの衣です。

醤油ベースの特製漬けダレにしっかり漬け込み、さらにもみ込んでいるという肉は、ムネ肉とは思えないほどやわらかく仕上がっています。漬け込み時間も完璧ですね。肉の旨みをしっかり感じられるだけでなく、醤油の風味がそこに加わり、和のテイストが際立つからあげ。うん、ウマい! これはとめどなく食べてしまう危険な味です。

モモ肉からあげと同じ方法で調理しては、こうはなりません。大ぶりなサイズも、固さの原因となる繊維質をカットすることを意識したものでしょう。ムネ肉からあげを美味しくするポイントを押さえていますね。あまりのやわらかさで、歯のすき間に肉が挟まってしまうこともあるほどです。
モモ肉からあげも期待を裏切らない旨さ!

続いて「ももからあげ」もいただきました。これは期待を裏切らない美味しさです。大ぶりで旨みがしっかりと閉じ込められた肉からは肉汁がとろ~りと流れ出てきます。ムネ肉とは違った、フワリとやわらかい肉質。ガリッとした衣との相性もいい。やはりムネ肉の美味しいお店は、モモ肉もウマい。あくまで筆者の経験則ですが、ここでもまたそれが裏付けられたようです。

ちなみに『鶏ちゃん』では、ムネ肉、モモ肉のほか、手羽先や鶏皮、やげん軟骨のからあげも提供しています。部位ごとに異なる調理法を研究し、さまざまな部位のからあげを自信を持って提供している点も、そのお店のクオリティの高さを示すひとつの指標と言えるのではないでしょうか。
●著者プロフィール
松本壮平
ライター・編集者。一般社団法人日本唐揚協会認定カラアゲニスト。生まれも育ちも「からあげの聖地」である大分県中津市。美味しいからあげを求めて東奔西走する「から活=からあげ探索活動」に明け暮れている。