旨すぎる「東奔西走うどん」って何?

『東奔西走』は自家製うどんの店ではありますが、 さぬきうどんや伊勢うどんといったカテゴリーには当てはまりません。また、うどん屋定番の「ざる」や「かけ」、「ぶっかけ」などもなし。ほとんどのメニューがオーナー・塚本さんと、店長の山本さんが生み出したオリジナルなのです。

なかでも看板メニューの「東奔西走うどん」(980円)がダントツ人気で、筆者同様、毎回これを食べ続けるお客さんが多いとのこと。

その「東奔西走うどん」。登場しただけで「おおっ」と声が出そうになります。美しく巻かれたうどんと、具がたっぷり入ったつけ汁。「綺麗な盛り付けを見たお客さんが、よりテンションを上げて食事してもらえたら、という思いを込めて、こういう盛り付けにしています」と塚本さん。いや、本当に気分の上がる素敵な盛り付けです。
うどんを箸で持ち上げてみると、ビヨーンと長くて、目測で60cmはあるでしょうか。そしてつけ汁は具だくさん、この日は揚げ野菜のゴボウ、ニンジン、ナス、玉ねぎ、さらにキャベツ、豆もやしなどの6種類とたっぷりの牛肉が入っています。

まず、うどんだけを食べてみると、小麦粉の香りが鼻から抜け、モチモチとした弾力が歯に響いてきます。そして塩気と小麦粉の味が口の中で広がっていく。これは、確かにさぬきうどんにも、伊勢うどんにもカテゴライズできない、何とも言えない食感と旨さです。
文句なしに「うどん、ウマッ!」と思わずひとりごちるほどに魅了されます。ちなみに、このうどんは三重県の小麦粉「伊勢ひびき」を使用。その独特の食感と香り、味を活かし、塚本さんと山本さんが試行錯誤して作り上げたうどんなんだそうです。

うどんをつけ汁に漬けると、上品なお出汁と野菜の旨み、香味油がうどんに見事に絡まって、最高のひと言です。
塚本さんによれば、このつけ汁は、昆布、鯖節、うるめでとった関西風のお出汁がベース。そこに上品な味わいの兵庫県の「マルテン醤油」とほんの少しの酢を加えているそうです。具材は、甘い香りとさっぱりした後味が特徴の米油で油通しした野菜と牛肉で構成。
もっちりしたうどんに合うように、まさに計算されたつけ汁で、最後はグイグイと飲み干してしまう美味しさです。