キレのある香味にどハマリ!

メニューをみると、専門店だけに、汁あり、汁なし、つけ麺、冷やしと、見事に担々麺だらけ。
最近の担々麺は、辛さや痺れのレベルを選べるお店が多いのですが、『香氣』は、辛さが「普通、辛、激辛」の3段階あり、痺れ度合いは、卓上の花椒や青山椒を自分で追加で振りかけることもできます。

友人からオススメのメニューを聞いていたので、迷うことなく、「紅汁なし担担麺」(辛)を券売機で購入しました。

登場した「紅汁なし担担麺」は、とても美しい盛り付けですが、前述したように担々麺は、見た目だけでは判断できません。
もっちりした太麺の上に、粗挽きの挽肉、ネギ、ピーナツ、干し海老、唐辛子などが盛られ、さらに全体に花椒が振りかかっています。麺の下にはタレが沈んでいます。
鼻を近づけてみると、強烈なインパクト。まず香りです。四川省で感動した時と同様、清涼感ある香りがぶわっと立ち込めます。そして麺をすすれば「おお!」と声が漏れるほどの強い麻辣感。かなり辛いし、痺れます。しかしただ刺激が強いだけではなく、苦味、酸味、甘みなどのバランスがよく、非常に奥行きのある味なんです。

途中で卓上の青山椒を振りかけると、これがまさに四川省・成都の香り。爽やかさも痺れ感もマシマシで、徐々にクラクラしてきます。“麻辣酔い”です。もはや香味の芸術と言っても過言ではありません。最後に香味酢をちょっと垂らすと、より旨みが増幅します。
ちなみにこのお店『香氣』では、複数の香辛料の花椒、唐辛子、陳皮、桂皮、八角、生姜などを使用し、麻味(痺れ)、辣味(辛味)、甜味(甘味)、咸味(塩味)、酸味、苦味、香味の7つの味をしっかり表現することを心掛けているそうです。しかも、良質のゴマを使って自家製の芝麻醤も作るほどのこだわりよう。
そういえば、成都では食堂や屋台のおじさんやおばさんが、何種類もの香辛料やタレをレンゲでちょこちょこすくって素早く器に入れて、無造作に担々麺を作っていたのを思い出しました。一見、適当そうなのですが、それが最高の香味を生み出しているのです。『香氣』の担々麺も、まさにその香りで感動させてくれる一杯です。
というわけで、汁なし担担麺好きの方はぜひ『香氣』に行ってみてください。感動的な美味しさですよ。
(撮影・文◎土原亜子)