白いとんかつの食感に悶絶

さて、ここのお店では、とんかつに対するこだわりが、メニューにたくさん書いてあります。例えばその日に使用する銘柄豚の特徴、パン粉、揚げ油、肉の仕込み方法、さらにとんかつのこだわりの食べ方まで。まずはそのまま、次は岩塩、そしてわさび醤油、そして自家製のソース、という順番がオススメのようです。

とくに揚げ方に関しては、最高品質のオランダ産のラードと、国産の純正ラードを使用し、低温からじっくり揚げ、予熱で火を通すため、提供まで20~30分かかるとのこと。鍋を観察していると、揚げ物特有の音と泡がほとんどありません。すごく静かに揚げられているのがわかります。

そして、約30分後、我々の食べ比べ膳2種類が登場しました。まず驚くのは、白い衣に覆われた美しく輝くピンク色の肉の断面です。ロースの脂は透き通るよう。食べる前から、「これは間違いない」と旨さを確信してしまうほど。
というわけで、いざ味わいます。横のK君は、とんかつをサクッとした音を立てて食べた後、ウンウンと首を縦に振ってみたり、天井をうっとり見上げてみたりして、美味しさを体で表現しています。筆者も、食感に耳をすましてみたり、鼻を大きくして香りを楽しんだり、ゆっくり噛みしめました。もう余計な言葉など不要。食べ比べ膳をシェアし、ご飯粒1粒も残さず完食です。

というわけで、お会計を済ませ、お店を出て、開口一番「いやぁ、美味しかったね~」と言葉があふれ出ます。もうこの言葉に尽きるのですが、お互い、この感動を分かち合うべく、近くの酒場へ移動することにしました。そこでの会話を一応、ご紹介しておきます。
筆者:あの食感、スゴかったね
K君:上の歯と下の歯が感じる衣のサクサク感。その後に当たる豚のフワフワ感。そして口にジュワ~ッと広がる旨み。なのにしつこさゼロ。パーフェクトかもしれない
筆者:とくに六白黒豚のフィレの肉質にびっくり。身が引き締まっているのに、噛むと柔らかくて旨みが濃かった
K君:特上ロースの脂もまた甘くて。お店のオススメの食べ方には、最初はそのまま、次に岩塩、わさび醤油、ソースの順でと書いてあったけど、最後まで何もつけずにそのままでもいいと思ったくらい。あの脂には感動したよ

筆者:肉の旨みがずっと続いて、一瞬もその食感や旨みを逃したくないから、どうしても寡黙になるね。一人で行きたくなる気持ちがわかる。あと、ご飯の炊き方にもにも感激。今日は北海道産の「ゆめぴりか」だったけど、その時々で変わるらしいし、とんかつが最高に美味しく食べられるご飯を目指してるのが伝わってくるよ
K君:あとキャベツも美味しかった。ドレッシングもトリュフと青じその2種類あって、どっちもちゃんと楽しめたよ
筆者:全てのクオリティにおいて自分史上、最高峰かも……
K君:同じく! まだ新しい店だけど、あっという間に予約の取れない店になる気がするね
・・・・・・・
という具合に、まだまだ話は尽きなかったのですが、いま思い出して、また食べたくなってきました。本当は、K君もあまり教えたくないとんかつ屋さんだと言っていましたが、とんかつ好きの方は、一食の価値があると思います。ぜひ予約して行ってみてその味わいを確かめてみてください。
(撮影・文◎土原亜子)
●SHOP INFO
店名:とんかつ けい太
住:東京都杉並区西荻南3-10-6 中村ビルB1
TEL:03-5941-5532
営:11:00~15:00(料理14:00LO、ドリンク14:00LO)
17:00~21:00(料理20:00LO、ドリンク20:00LO)(完全予約制)
休:月・木
https://tonkatsukeita.owst.jp