鶏の旨さがぎゅっと詰まった至極の一皿

「やはり海南チキンライスのポイントは主材料の鶏肉ですね。開店当初から、都内の鶏肉専門業者が山梨県より仕入れたものを届けてもらっているんです。その甲州の鶏肉は、鮮度抜群なうえ、1羽1羽、手でさばいてくれているので、肉厚で、肉質もプリッとしているんです」と小島さん。
届いた鶏肉の余分な脂やスジを丁寧にとり、下味のニンニク、生姜などに漬け込んだ後、茹で蒸しに。その後、氷でしめて、蒸し鶏が完成。揚げ鶏はさらにその肉に別の下味をつけてフライにします。また、ライスは、鶏ガラとたくさんの野菜と一緒に6時間ほど煮込んで漉したスープを使用してお米を炊きこむそうです。

さらに「海南チキンライス」でもう1つ、とても大事なのがソースです。今では、輸入食材店などで、海南チキンライス用の醤油や、チリソースなどが簡単に手に入りますが、『夢飯』ではすべて手作り。
「海南チキンライスに付属する“中国しょうゆ”は、醤油と薄口醤油、シンガポールのダークソース(たまり醤油)と自家製のネギ油をブレンドして作っています。またチリソースは、乾燥唐辛子を水に戻し、ニンニク、生姜、ライムジュースを攪拌し、スープで溶いたもの。生姜ソースも、生姜を自家製スープで溶いて作っているんですよ」(小島さん)
実に繊細かつ相当な手間暇がかかっていることがわかります。小島さんのお話を聞けば聞くほど、やっぱりここの海南チキンライスの美味しさに納得してしまいます。

そして最後に、このお店の嬉しい点は、海南チキンライスを始め、マレー風カレーライスやお粥類などのご飯ものはすべて大・中・小からサイズを選んで注文できるところにあります。しかもお子様用の海南チキンライスやベビー粥なんてメニューもあります。

「20年前は知名度が低かった海南チキンライスでしたが、日本人の舌にも合うし、しかも高タンパク低脂質で、非常に体に良いという自信がありました。だから、お子さんからお年寄りまで多くの人に食べていただきたいという気持ちで店を始めたんです。その時の気持ちは今も変わらず、みなさんが注文しやすいメニューにしているんですよ」
小島さんからいただいた名刺を見直すと、そこには「きちんとおいしい海南チキンライス」という言葉が書いてありました。確かに、20年間、愛され続け、美味しさに妥協がない理由は、まさにこの言葉にある、とまた納得。まだ食べたことがない方は、ぜひ、『夢飯』の「海南チキンライス」を食べてみて欲しいです。
(撮影・文◎土原亜子)
●SHOP INFO

店名:夢飯(Mu-Hung)
住:東京都杉並区西荻北3-21-2
TEL:03-3394-9191
営:11:00~20:00 (19:30LO)
休:火曜(不定休あり)