
「海南チキンライス」といえば、シンガポール名物の1つ。ご存知のように、チキンスープで炊いたご飯の上に蒸し鶏がのった料理です。今では日本全国で食べることができ、また、専用ソースがスーパーで販売されるなど、すっかり定着した感のある料理ですが、今から20~30年前の平成最初の頃には、ごく一部の人しか知らない料理でした。
今回ご紹介する東京・西荻窪のレストラン『夢飯(ムーハン)』は、まさに「海南チキンライス」がまだ知られていなかった平成12年(2000年)に専門店をオープン。シンガポールで食べた経験のある人や地元住民を中心に評判となり、雑誌などのメディアにも取り上げられて、瞬く間に人気店となりました。日本に「海南チキンライス」を定着させた店の一つ、といっても過言ではないと思います。

そんな『夢飯』は、今年で20周年。実は、筆者が初めて「海南チキンライス」を食べた思い出の店でもあるのです。先日、久しぶりに伺うと相変わらず大盛況でした。そして多くの人が注文していたのが、海南チキンライスの蒸し鶏と、揚げ鶏が半分ずつ載った「海南ハーフ&ハーフチキンライス」。いただいてみると、柔らかくて旨みたっぷりの蒸し鶏とカリッとした食感でジューシーな揚げ鶏、そして味わい深いご飯、添えられたソースに至る、すべてに丁寧な仕事がされていて、まさに完璧な一皿でした。個人的な感想ではありますが、ここの海南チキンライスは、やっぱり一番美味しいんじゃないか? と思ってしまうのです。
そこで、店長の小島典子さんに、『夢飯』の海南チキンライスのこだわりについて伺うことにしました。