ベーグルの自然な甘みの秘密は?
お店を訪れてみると、ここもまた昭和っぽいレトロ感が漂う対面販売式。すでに街に溶け込み、静かに佇んでいるように見えますが、どっこい、数分、観察していると驚きます。
次から次へと女性客が訪れ、ガラスケースに並んだベーグルを大量買いしていくのです。残り僅かになると、店奥から焼きたてのベーグルが少量ずつ追加されます。すると、またどこからともなく“ひふみファン”がやってきて、1個、2個、3個と買っていくんです。営業時間中はその繰り返し。
ベーグル屋さんは数あれど、どうして『123ベーグル』はこんなに人気なの? そこで筆者も並んで購入してみました。
モチモチ感のヒミツは出雲の“仁多米”
まずはこちらの「プレーンベーグル」(190円)から。手にしてみると、ぷっくりしていて真ん中の穴が埋まりそうなくらい。しかもずっしりと重いんです。いただいてみるとムチムチ、モチモチしていて、かなり顎も使う、噛み応えのあるタイプです。そして、噛むほどにじわりじわりと甘みを感じます。
「うちのベーグルの最大の特徴は、島根県の奥出雲で収穫されるコシヒカリ“仁多米”を使っていることです。このお米は、“西の横綱”と呼ばれ、お米はしっかり噛み応えがあって、粘りもあり、強い甘みがあるのが特徴です。その米粉と北海道産の小麦粉をブレンドすることで、ベーグルにも強いモチモチ感と甘みが出るんですよ」と店主の内田さん。
さらに、生地の発酵は天然酵母を使い、牛乳や油、バターや卵を一切使わずに手で丸め(ハンドロール)、ボイルした後、ゆっくりと焼き上げているそうです。だから1回に焼ける数も少量。だから少しずつ、ベーグルが店頭に追加されるというわけ。
一緒に行列していた20代会社員風の女性と話していたら、「ここのベーグルは、生地自体に旨み、甘みがあって、言ってみれば美味しいご飯を食べているみたい。ケシの実だけを載せただけなのに、香ばしくて甘みもあって、毎日食べても飽きないんです」と言います。
また前にいた10代の学生さんは「お目当てのチョコチップが朝の時間に買えなかったので、今日は2回並んでいます。生地もあっさりしていて練り込んだチョコも優しい甘さで、1度食べたら忘れられないんです。粒あんを食べていると素朴な和菓子を食べているような気分ですよ」と。