現存する日本最古の居酒屋『みますや』の「どぜう丸煮」|神田

日本最古の居酒屋といわれる『みますや』。創業は1905(明治38)年。夏目漱石が『吾輩は猫である』を発表し、日露戦争が終結した年です。創業当時の建物は、1923(大正12)年の関東大震災で焼失してしまったそうで、現在の建物は1928(昭和3)年に建てたもの。

『みますや』には名物料理がたくさんありますが、まず食べてみたい逸品が、名物の「どぜう丸煮」700円。どじょうを開かずに丸ごと煮込む“丸煮”は、江戸時代に生まれた調理法で、東京の郷土料理として愛されてきたそうです。下町・神田らしい一皿というわけですね。
中くらいの鉢にたっぷりのどじょう、一緒に煮込まれた薄切りのゴボウ、そして卵、ネギが入っています。頭からしっぽまでまるごといただきます。甘じょっぱいお味がどじょうにしっかりと染み込んでいるので、臭みや泥臭さはまったくなし。ツルッとした食感の中に小骨のコリッとした歯ごたえがたまりません。

そして、どじょうの濃いめの味や肝の淡い苦味は日本酒にぴったり! 日本酒は常時15種ほど置いていますが、燗酒「白鷹」450円。みますやオリジナルのとっくりがかわいらしいですね。どじょうとの相性が良すぎてどんどん進んじゃいます。

開店してすぐの時間は空いていますが、後からどんどんお客さんが入ってきます。予約の電話もひっきりなしにかかってくるので、開店時間に間に合わない場合は予約をしたほうが安心。
ちなみに、戦時下では空襲によって火災が起きたそうですが、近所の人々が「酒が呑めなくなると困る」と一致団結して水をかけて消火してくれたそうです。120年近く愛され続けてきたお店の堂々たる風格も含めて味わい深い「どじょう丸煮」、ぜひご堪能あれ。