鹿児島の醤油醸造所が本気で作ったソース『とんかつブラック』が旨い!

醤油蔵が本気で作ったその味は?

「とんかつブラック」
「とんかつブラック」

『吉村醸造』(鹿児島県いちき串木野市)は、鹿児島の醤油や味噌、ソースなどを作り続けている昭和2(1927)年創業の老舗。「サクラカネヨ」ブランドの濃口醤油「甘露」が人気で、地元・鹿児島では超有名店です。

 鹿児島県の醤油は甘いことで知られていますが、吉村醸造の「甘露」は、じつは甘さ控えめで旨みが濃いのが特徴で、地元だけでなく他府県の人もお取り寄せするくらい大人気なんだそうです。

 そんな老舗が作ったソースが「とんかつブラック」。なんと、醤油をベースに作られたソースなんです。

 その作り方を『吉村醸造』さんに聞いてみました。

「伝統製法の大豆・麦・塩・水のみで仕込んだ“生揚げ醤油”(加熱していない生の醤油のこと)をベースに、トマト、リンゴ、玉ねぎ、さらに10種類以上の香辛料を加えて大鍋で炊き上げています。さらに、それを1週間寝かし、最後に鹿児島県産の“黒砂糖”、福山の壺造り醸造の“黒酢”で仕上げているのが大きな特徴です」

実際に、とんかつにかけて食べてみた

 商品名の由来は、“黒”がカギとなっているからだそうですが、それにしてもなぜ、醤油屋がソースを?

「鹿児島は黒豚の産地として有名で、みな黒豚とんかつが大好きです。多くの人がソースで食べていて、うちでもとんかつソースやウスターソースを出していますが、こうした一般的なソースには穀物酢が入っているので、酸味が強すぎて、ソースの味がとんかつの味より勝ってしまうんです。そこで、とんかつそのもの旨みをとことんひきたてるには、どういうソースが一番いいのか研究し、開発したのが“とんかつブラック”なんです」

 近所でテイクアウトした精肉店のとんかつにかけてみました。「とんかつブラック」のフタを開けると、香りは一般的なとんかつソースと変わらない印象。真っ黒くてトロリとしていて濃厚そう。ソースだけを舐めると、甘く、ほのかな酸味。そしてその奥に醤油感があります。とんかつと一緒に食べると、確かに一般的なソースよりもトゲトゲしさがなく、醤油のコクがさりげなく肉をひきたててくれています。肉屋さんのとんかつが、まるでこだわりの専門店のとんかつを食べているような味に思えてきます。