スイーツやアペロを楽しむレストラン、酒ショップを備える「酒樂棟(しゅらくとう)」

『ESHIKOTO』でまず注目したいのが「酒樂棟(しゅらくとう)」内に開業した、菓子店併設のレストラン「acoya (あこや)」。店内は手前のパティスリーゾーンと、奥のアペロ(=アペリティフのフランス語)ゾーンに分かれています。

パティスリーゾーンでは酒粕や梅酒からでた黄金の梅などを再利用して仕上げたパウンドケーキや、チーズケーキなどの焼き菓子を提供、販売。

アペロゾーンでは、フレンチの技法を生かした御膳スタイルのモーニングやランチ、カフェメニューのほか、お酒に合うおつまみなどを展開します。取材で訪れた際は、黒龍酒造の酒粕から丁寧に起こし、カガセイフン粗挽きの蕎麦粉を使ったカンパーニュや、黒龍吟醸豚を使ったシェリービネガー煮込みなど、この土地ならでは、石田屋二左衞門ならではの料理が提供されました。

もちろん黒龍や九頭龍、スパークリング日本酒などのお酒もラインナップ。福井をはじめ、北陸産の旬食材を使った料理とのペアリングを楽しむことができます。

レストランのメイン・テーブルには、長さ9メートルほどの福井県産の杉の一枚板を贅沢に使用。店内の壁には趣のある越前和紙を使用し、パティスリーブースは白色に、アペロブースは黒色にして、モノトーンの空間グラデーションも楽しめるようにデザインされています。さらに、酒ショップでは、『ESHIKOTO』でしか購入できない貴重なお酒を常時15種類前後、展示販売しており、購入前の試飲も可能です。
越前焼などの伝統工芸品も展示されている文化的で粋な空間でゆったりとお酒選びを楽しめます。ちなみに「酒樂棟」は、女優でデザイナーでもある結城美栄子氏によるアート作品が満載。季節や太陽の角度によって刻々と移り変わる風景も魅力です。
圧巻の貯蔵セラーを備えたイベントスペース「臥龍棟」

イベントスペースとなる「臥龍棟」は、天井の高さが約11メートルもあり、尖った天井が教会を彷彿させるような厳かで上質な空間が特徴です。
イギリス人建築家 サイモン・コンドル氏(日本の西洋建築の礎を築いたジョサイア・コンドルの子孫)がデザインを手がけています。カウンターには福井県美山の樹齢200年の杉を丸ごと使用しているほか、建物には福井にあった古民家の柱を再利用するなど、建材にもこだわりが感じられます。

さらに「臥龍棟」内には、瓶内二次発酵のスパークリング日本酒を約8000本眠らせている貯蔵セラー「臥龍房」もあり、その壁や床には一面、福井名産の希少な笏谷石(シャクダニイシ)を使用。濡れると青く輝くと言われる石が、特別な雰囲気を醸します。残念ながら特別な日を除いて、普段は一般公開されませんので、気になる方はイベントなど公開日に訪れてみてください。
醸造施設、醸造ラボ、宿泊施設も続々オープン予定!

今後ご紹介した施設に加え『ESHIKOTO』内には醸造施設、醸造ラボ、宿泊施設なども建設予定。北陸新幹線が延伸し、福井県にも開通する2024年に創業220年を迎える石田屋二左衞門の今後の動向にも注目したいところです。
(取材・文◎中森りほ)
●DATA
ESHIKOTO(えしこと)
住:福井県吉田郡永平寺町下浄法寺12-17
acoya (あこや)
住:福井県吉田郡永平寺町下浄法寺12-17 酒樂棟2F-B
TEL:0776-97-9396
営:8:00~18:00(変更の可能性あり)
https://eshikoto.com/