「塩田熟成牡蠣」はマイルドな味わいが魅力

2011年創業のファームスズキは、塩田跡で牡蠣を養殖する「クレールオイスター」を提供しています。クレールオイスターはフランスでは高級食材のひとつとして認識されており、海で海で育てた牡蠣よりも甘みが強く、マイルドな味わいの牡蠣が育つそうです。
今回のイベントで提供されるのは、「塩田熟成牡蠣」となっています。養殖池の水温が高くなる夏場は海で身を太らせ、秋から養殖池で熟成させるという育て方で、欧米と同じように牡蠣をカゴに入れて養殖しています。
実際に食べてみたところ、牡蠣特有のエグみは一切なく、だしのようなまろやかさを感じる味わいです。これまでさまざまな牡蠣を食べてきましたが、生で食べてもおいしいのはもちろん、料理としていただくのに一番適した牡蠣だと感じました。
広島県内で希少な牡蠣も食べられる

フルスイの「Zオイスター」は、水揚げ量が少なく、希少価値の高い三津湾産の大きな牡蠣です。牡蠣の密度を下げて養殖することで、身入りのいい牡蠣に育てています。
牡蠣自体の味わいはさっぱりしており、潮味と甘み、旨みのバランスがちょうどいいのが特徴です。歯ごたえもぷりっとしていて、手間を掛けて育てられているのがよくわかります。
三浦海産の「三浦さんの牡蠣」は、一般的な垂下式の養殖方法で育てられていますが、栄養分の多い海域と少ない海域を移動させて身を太らせるというひと手間がかけられた牡蠣です。また、すべての牡蠣を水揚げするのではなく、身入りのいいものだけを選別して水揚げするというこだわりっぷり。

生育期間が違うと味わいも大きく異なる

11月15日(金)~17日(日)、22日(金)~24日(日)に提供されていたのは、かなわ水産の「先端(SENTAN)」「大黒神島」「ひろしま」の3種類。かなわ水産は慶応3年創業の長い歴史を持ち、複数の品種の牡蠣を育てています。イベントで提供された牡蠣はいずれも「真牡蠣」で、6か月育成、18か月育成、20か月以上育成のものが揃いました、育成期間により身の大きさや味わいに違いがあり、まさに食べ比べると新たな発見があります。

残念ながらかなわ水産の牡蠣をTAUで食べられるチャンスは終わりましたが、都内には「銀座 かなわ」という直営店があるので、そちらを訪れてみるのもいいかもしれません。

また、TAU内には『広島イタリアン MERI Principessa』(3階)や『広島お好み焼 鯉々』(2階)、『瀬戸内ダイニング 遠音近音』(地下1階)もあり、各店舗でも広島産の牡蠣を使ったメニューが提供されます。



世界中の牡蠣を食べ比べられるオイスターバーはありますが、広島県産の牡蠣を都内で食べ比べる機会はなかなか少ないはず。これまでTAUに足を運んだことがない人も、ぜひこれをきっかけに広島の食の魅力に触れてみてください。
●DATA
ひろしまブランドショップ TAU
●著者プロフィール
今西絢美
編集プロダクション「ゴーズ」所属。デジタル製品やアプリなどIT関係の記事を執筆するかたわら、“おいしいものナビゲーター”として食にまつわる記事も執筆中。旅先でその土地ならではのローカルフードを探すのが好きで、フードツーリズムマイスターの資格も持つ。