おむすびの生活感を廃しつつも、有機性を可愛らしく表現したトータルデザイン

今回筆者が「マルムス」で注文したおむすびは後述する合計6個。包んでいただきましたが、まずこのパッケージがかわいすぎて驚きました。
従来の「おむすび」と言うと、生活感が漂うような感じもありますが、『マルムス』のパッケージにはそういった感じはいっさいありません。かと言って無機質なわけでもなく、むしろ「おむすび」の有機性を感じさせる絶妙なディレクションが施されたパッケージデザインだと思いました。
これなら、例えばホームパーティのお土産や差入れなんかにしても喜ばれるのではないかと思いました。複数の人が「私は、どれにしようかな」なんて選ぶ様子が目に浮かびます。
『マルムス』が提案する良質の食材を使った、斬新おむすびたち

なかなかハイレベルなディレクションだと思いましたが、肝心の丸型おむすびもそれぞれ見た目がかわいらしいです。もちろん味にも相当なこだわりがあるとのことで、ここでは今回『マルムス』でオーダーした6種のおむすびをそれぞれ試食しレビューします。

白米、鹿児島県産臼焼き豚、こしき塩、米油、チャービル、たれを使ったおむすび。言われなければ豚肉が使われているとは思えないほど上品な味。言うまでもなくしつこい味ではなく、むしろ優しく香ばしい風合いでした。見た目だけでなく味もオシャレです!

白米、ゆかり、米油、チーズを使ったおむすびですが、これは新食感! ゆかりがふんだんに和えられたお米に、チーズがまろやかさを生み柔らかな味わいを醸し出しています。商品名の通りパクパク頬張りたくなるような癖になる味ですが、かと言ってもたれるようなことはなく、こちらもまた優しい味を楽しむことができました。

十字に巻かれた海苔が印象的なおむすび。玄米、特別海苔、こしき塩、米油、無着色辛子明太子を使っているそうですが、見た目からは想像できない辛子明太子のつぶつぶ食感がまず楽しいです。さらに玄米と海苔との相性も抜群で、これらの味が複雑に入り混じり独特の味わいを表現しています。見た目も可愛く味も美味しい一品です。

ピクニックに持っていきたくなるようなおむすびをテーマに月替りで提案しているおむすびシリーズの一品。ダイナミックに塩麹鯖が乗せられたおむすびで、使われているのは白米、塩麹鯖、大葉、ガリ、甘酢、三温糖、塩。それぞれの味がどんな掛け算となるのか、いただくまで全く想像できませんでした。実際にいただいてみると、塩麹鯖のインパクトが十分立ちながらも、やはり全体的には複雑で奥深い味わいを感じさせてくれました。これもまた癖になる味!

白米、こしき塩、米油、大葉、ごま、昆布佃煮が使われたおむすび。表面を包む大葉のグリーンがまず綺麗ですが、実際にいただいてみると、昆布佃煮の甘さを、この大葉が大きな薬味のようにスキッと引き締めてくれるような味わいでした。見た目のインパクトだけでなく、必然的な意味もしっかり感じることができました。筆者的にはベストなおむすびでした。

玄米を使った梅むすび。使われているのは玄米、特別海苔、無添加しそ梅干し、こしき塩、米油で、梅干しの風合いが美味しく、玄米がそのすっぱさを補うような印象。従来の梅おにぎりともやや違う斬新な構成のように思いました。『マルムス』では白米を使った梅むすびもあるので、食べ比べしてみるのも楽しいかもしれません。
ベースのお米、海苔、塩にももちろん相当なこだわりが…

いずれのおむすびも、かなりのクオリティのものばかりでしたが、そもそも使われている白米・玄米も、米どころ・山形県の高品質のお米を複数ブレンドしているそうです。また、海苔や塩も薬剤処理をしない“天然素材”を使い、安心で旨みたっぷりの素材ばかりを使っているとのこと。
これら基本素材に加え、ここまでに紹介したような、さらなるこだわり食材をおむすびに転じていることで、絶品のおむすびを表現できているのだと思いました。最後に「マルムス」担当者の方にも聞きました。
「『マルムス』では店舗設計からおむすびの形、パッケージまで全てのデザインのディレクションを一貫して行っています。このことで、日本の身近な国民食であるおむすびを新しい切り口として伝えられるよう心がけました。
食すスタイルも自身へのご褒美、誰かへの手土産に、などコロナ禍によってコミュニケーションが不足している今、見るだけでも心が躍る丸いおむすびをコミュニケーションのきっかけにして欲しいという想いもあります。『定番なのに無限の発展性を持つおむすび』をテーマに、厳選の食材とレシピにデザインを掛け合わせた、見た目も楽しいご褒美おむすびを提供しています。日々の自分へ、誰かへのお土産に、ぜひ一度お立ち寄りください」(『マルムス』担当者)
まだオープンして数ヶ月。地元・学芸大学駅周辺ではすでに支持を得ているという『マルムス』。「これから全国の美味しい食材・食べ方をさらに提案していきたい」という『マルムス』、今後何かをきっかけに人気が更に爆発する日もそう遠くないかもしれません。
(撮影・文◎松田義人)