「いっさいがっさい」弁当とは?

『まごころ大高』は、東武東上線・上板橋駅から徒歩3~4分の場所にあります。店先のショーケースに並んでいるサンプルからして、通常の弁当よりかなりボリューミーに感じます。

店内に入ってメニューを見ると、お弁当はなんと48種類とかなり豊富。のり弁に焼肉弁当、しょうが焼き弁当、さらに日替わり弁当やおにぎり各種などなど。種類によってはおかずのみの注文も可能。さらに弁当のご飯は白米、十五穀米、もち麦の3種から選べて、量も半ライス~メガ盛りまで5段階も用意されています。

そしてメニューの中からお目当ての弁当「いっさいがっさい」(1000円)を発見しました。おかずの内容は、「焼き肉、ハラミ、照焼、唐揚」。さらに「元気になってください」という一言が添えられています。嬉しくなりますね、このちょっとした心づかい。
お弁当の完成を待つ間、私以外に1組のお客さんしかいないのに、大量のお弁当が次々出来上がっていき、ひっきりなしに電話注文も入っていきます。これは目には見えない行列店という感じです。さて、注文から10分弱で、私のお弁当ができました。

フタの上から見ても、ぎゅうぎゅう詰め! 持ってみるとずっしり重い。これはスゴい量かもしれません。ついつい重さを計ってみたくなりました。というわけで家に持ち帰り、すぐにキッチンスケールの上にのせてみると……なんと、1.2kg超え!

まずは腕組みをして、このデカ盛り弁当をどうやって攻略すべきかを考えました。眺めていると、各おかずが3エリアに分かれ、それぞれご飯の上にのっているので、そのエリアごとに攻略していこうと決めました。

最初は左下の牛肉エリアから攻めていきます。分厚いハラミは噛むと柔らかく、控えめな甘さの醤油ダレがなんとも美味。軽くスモーキーさがあって、鼻に抜ける感じが心地よくて、これは焼肉屋さんで食べる“焼肉丼”のようなハイレベルな味わいです。うーん、弁当のレベルをはるかに超える美味しさです。
続いて、右下の豚肉のエリアへ。豚肉と玉ねぎがしっとりと煮込まれた料理がたっぷりのっています。こちらもかなりの量があります。

甘く煮込まれた玉ねぎと豚肉。ふんわあり柔らかくて、これまた旨いこと! お母さんが作るような優しくて懐かしい味がします。そして、下のご飯も丼1杯ほどの大ボリューム。弁当屋のご飯というのは非常に大事。米が美味しく炊けてなかったら、どんなに美味しいおかずでも台無しですからね。その点、大高さんのお米は炊き具合が絶妙で、実に美味しいです。
さて、2エリアを攻略中ですが、箸休めに鶏のから揚げを1つ。

唐揚げにかぶりつくと、こちらも柔らか&ジューシー。生姜醤油味の肉も薄衣も非常に味わい深く、冷めても美味しいタイプのから揚げです。2個しかないのが残念に思えるほど。そして最後、右上の鶏の照り焼きエリアへ突入。

この鶏の照り焼きもしっとりしていて、味つけが濃すぎず甘すぎず、絶妙な塩梅なんです。これ、私の大好きなタイプです。そして、もう1つ、素晴らしいと思ったのは、端っこにある中華風の味付けの春雨。この隅っこまでめちゃくちゃ美味しいんですよ。

結局、この超デカ盛り「いっさいがっさい」弁当を食べ終わるのに約30分かかりました。大食らいの私でも、さすがにお腹がパンパンで苦しい! しかし、久しぶりに美味しいものを腹いっぱい喰らう喜び。禁欲明け(?)もあって最高でした。
たまにはダイエットやヘルシー食などいっさいがっさい忘れて、旨いメシ思いっきり喰らうのも心の健康です。というわけで“まん防”も開けたし、今日もまた、美味しいもの探しをしながらタクシーを走らせています。
(撮影・文◎土原亜子)
●プロフィール
荒川治
東京都内在住のタクシー運転手。B級グルメ好きが高じて、現職に就き、お客さんを乗車させつつ、美味い店探しで車を回している。中年になってメタボ率300%だが、「死神に肩をたたかれても、美味いものを喰らって笑顔で死んでやる」が信条。写真検索で美味しそうなモノを選び、食べに行って気に入ればとことん通い倒す。でもじつは、自分で料理を作ることも好きで、かなりの腕と評判。