文化鍋のご飯はめちゃくちゃ美味しかった!

購入してみて分かったのは、普通の鍋とは違い、文化鍋はお米を美味しく炊くための様々な工夫がほどこされているということでした。
例えば、厚手のアルミ鋳物製のため、熱伝導・蓄熱性に優れ、熱がゆっくりじわじわと柔らかく伝わり、一定温度が保たれるため、ご飯が均一に加熱されます。

また、特殊な蓋の形状により、吹きこぼれ防止を実現すると同時に、鍋ブタに薄い水の膜ができる「ウォーターシール現象」が発生。これが酸化を防いでくれるため、お米の味と栄養価を損なうことがないそうです。
ただ、気になるのは、炊くのに手間がかかるのでは? ということと、保温機能がないため、冷えたごはんはどうするかの2点です。ともあれ、やってみたほうが早い、ということで、さっそく炊いてみることにしました。

手順は、お米を研いだら約30分弱浸水。蓋をして強火にかけ、沸騰したら弱火にして15分。火を止めてさらに15分蒸らします。2回ほど火加減を調節する手間はありますが、電気炊飯器の通常モードと時間的には差がありません。そして出来上がったご飯がこちら。

蓋を開けるとお米の香りがフワッと立ち、ご飯粒がツヤツヤと輝いているのがわかります。食べてみると、ご飯の粒立ちがよく、水分の含み具合も最高。噛むほどにお米の旨みがじわじわと染み出してきます。
これまで何十年も電気炊飯器でご飯を炊いてきましたが、正直言って、文化鍋で炊いたご飯は、風味も食感も明らかに炊飯器を凌駕しています。土鍋もご飯が美味しく炊けますが、それと同等か、もっと上かもしれません。なにより土鍋より軽いのが最高です。今まで自分で炊いたご飯の中で一番美味しいです。

ただ、前述の通り、文化鍋は保温ができないのがなぁ…と思っていたのですが、文化鍋に入れっぱなしにしていたご飯を、外出して6時間ほど経って帰宅してから再び食べてみると、もちろん温かくはありませんが、水分を保っていてツヤツヤのまま。
そしてこの冷やご飯、炊きたての時より甘みや旨みなどの味わいが、よりくっきりわかるのです。さらに、残ったご飯をラップに入れておにぎりにし、翌日、電子レンジでチンして食べても美味しい。これは、前述したウォーターシール現象により、お米の栄養素の損失が少ないからなのかもしれません。これなら保温機能なんて別にいらないや、とひと安心。

というわけで、文化鍋のご飯の美味しさを初めて知って、感動しきり。ただし、電気炊飯器のように炊き上がり予約をしたり、スイッチを押してほったらかしにできたりする便利さはありません。でも、この文化鍋のごはんを知ってしまうと、そんな程度の利便性は、たかが知れているように思えてきます。
もちろん、炊飯用だけでなく煮物などをしても通常の鍋よりも美味しくできると思います。炊飯器の購入を考えている人は、ぜひ「文化鍋」も選択肢に入れてみてください。後悔しないと思いますよ。
(撮影・文◎Jeriko Tsucchina)