現役トレーナーに聞く、“プロテイン女子”のための賢いプロテインのとり方

現役トレーナーに聞く、“プロテイン女子”のための賢いプロテインのとり方
食楽web

美味しいものが食べたい。でも体型のことも気になる…。そんな人のために、トレーナーの宮本健太郎先生がレクチャーする「筋肉メシ」。今回のテーマは「プロテインの摂り方」です。

 プロテインというと、これまでは筋トレをする男性やアスリートが飲むイメージでしたが、最近は一般の女性もプロテインをとり始め、昨今では「プロテイン女子」なんて名前も定着し始めています。食べ飲み好きのグルメな女子たちも、プロテインを上手に生活に取り入れていますが、みんなの目的は、美容と健康的なカラダ作り、そしてダイエット。

 体作りにプロテイン=たんぱく質は重要なので、こうした状況は僕らトレーナーにとっても非常に嬉しいことです。同時に、プロテイン初心者の女性から「プロテインの正しいとり方がわからない」と相談される機会も多くなってきました。そこで、よく聞かれる3つの疑問・質問にクローズアップ。それに回答するかたちで、プロテインの賢い摂り方をご紹介していきたいと思います。

そもそもなぜプロテインを摂るべきなの?

 今、コンビニやドラッグストアには、プロテインの機能食品があふれています。サラダチキン、サラダフィッシュ、プロテインドリンクやプロテインバー、プロテインソーセージ、プロテインヨーグルトなど。

 そもそも、なぜこうしたプロテイン機能食品を摂ることを、我々体作りのプロが推奨するか。それは、日本人のほとんどの人が1日に必要なたんぱく質の量を十分に摂れていないからです。

 体を建築物に例えると、たんぱく質は“建築材料”です。筋肉はもちろん、骨も爪も、髪も、肌もすべてたんぱく質で作られています。つまり建材が足りない建物が必ず崩壊するのと同じで、体も崩れてしまうわけです。

 1日に必要なたんぱく質量は、体重1kgに対して1.5g~2g。体重50kgの女性で言えば、たんぱく質を75~100gとる必要があります。この量をお肉でとるとなると350~500gほどになります。

 1日3食で分けて食べるとしても、1食当たり手のひら一つ分くらいのサイズのお肉を食べなくてはなりません。朝昼晩、そんな分量を食べるのは非現実的。しかも、たんぱく質の多いお肉や魚も、部位を選ばないと脂質が多くなり、あっという間にカロリーオーバーになります。

必要量のたんぱく質を肉だけから摂ろうとすると、必然的に脂質も多く摂ることに
必要量のたんぱく質を肉だけから摂ろうとすると、必然的に脂質も多く摂ることに

 そこで、食事で摂取する以外のたんぱく質を、プロテイン機能食品で補おういうわけです。なかでもイチオシは、プロテインパウダーで作るドリンク。高たんぱく低脂質なので、カロリーオーバーしにくく、なおかつ吸収も早いので効率よくたんぱく質を摂取することができます。

プロテインはいつ摂ればいいの?

 トレーニングの指導をしていて一番多く受けるのがこの質問です。ベストタイミングは次の3つです。順々に説明していきましょう。

(1)トレーニング後30分以内

 トレーニング後は筋肉の修復にたんぱく質が必要になりますから、吸収の早いドリンクタイプを飲むゴールデンタイムです。ではトレーニングしない日や、トレーニング習慣のない人は必要ないのか、といえば、前述したように、みんな食事だけではたんぱく質が不足しますから、飲んだほうが絶対に体にはいいのです

(2)間食として

 食後、数時間するとお腹がすいてきて、“グウ~”とおなかが鳴ります。この音は、実は筋肉が分解され始めた合図だと思ってください。

 食事の間隔が長く空くと、血中の血糖値とアミノ酸濃度が低下します。ある一定よりも血糖値が下がると、脳にエネルギーが供給できなくなり、筋肉が分解されて糖に変わり始めます。これが、トレーニーが恐れる「カタボリック」という現象です。これを繰り返す生活習慣を続けていると、加齢に伴って筋肉量がどんどん減り、代謝が落ちてきます。つまり太りやすい体になってしまうのです。

 それを防いでくれるのがプロテインです。空腹になる前にプロテインを摂れば、体の筋肉を減らさずに済むのです。間食には、ドリンクタイプではなくバータイプのものがおすすめ。お腹も膨れるし、バーを固める際に使われる少量の油脂成分が、胃の吸収を緩やかにしてくれるため、空腹感をより紛らわせてくれます。

コンビニやスーパーで買えるプロテイン機能食品。高たんぱく低脂肪なので利用しやすい
コンビニやスーパーで買えるプロテイン機能食品。高たんぱく低脂肪なので利用しやすい

(3)寝る前に

 これも間食と同じことで、寝ている間は食事を摂れない時間が長く続きます。するとカタボリック状態に陥るんです。朝食を食べない人は、カタボリックがもっと長く続くことに。そこで、寝る前にプロテインドリンクを飲んでおけば、寝ている間の筋肉の分解を防ぐことができるのです。

オススメのプロテインドリンクの飲み方

 最後にプロテインドリンクの賢い飲み方をご紹介しましょう。やり方はとっても簡単。ドリンクタイプのプロテインに小さじ1杯の「良質な油」をちょい足しするだけ。具体的には、エゴマ油、シソ油、亜麻仁油といったオメガ3脂肪酸の油を足しましょう。プロテインの吸収を緩やかにして、睡眠中のアミノ酸濃度を長く保ってくれ、より筋肉分解を防いでくれるんですよ。

 以上、プロテインの賢い摂り方、ご理解いただけたでしょうか。

 最後に、いくら体に必要なプロテインだからと言って、たくさん摂り過ぎると太ります。前述したように、1日に必要なたんぱく質量は、体重1kgに対して1.5g~2g。自分の必要量をきちんと計算しましょう。

 また、たんぱく質1gあたりのカロリーと糖質1gのカロリーは同等なので、今までの間食にチョコレートやケーキを食べていた人は、そこにプロテインドリンクやバーをプラスするのではなく「置き換え」をするようにしてください。さもないと、太りますのでご注意を。

(取材・文◎土原亜子)

●お話を聞いた方

宮本健太郎

宮本健太郎

『エベレストフィットネス』代表。日本体育大学卒 第一種高等学校教諭(保健体育)。全米ストレングス&コンディショニングスペシャリスト。NSCA認定パーソナルトレーナー。大学生時代よりプロボクシングでの競技生活をスタート。競技引退後は某有名ボクシングジムのチーフトレーナーとして後進の育成に従事。現在、ボクシング&フィットネスのジム『エベレストフィットネス東高円寺』を経営。
https://everest-fitness.jp