
都内の私立高校に通う良太(リョウタ)と周(シュウ)は、色気より食い気の男子高校生。安くて旨くて、腹いっぱいになる“俺らの三ツ星店”を探し、食べに行くのが楽しみ。そんな高1コンビが、噂に聞いたワンタンメンの名店『たんたん亭』へ。
僕の地元、東京・杉並区はラーメンの名店が多いエリアで、とくに荻窪は、『春木屋』『丸長』『丸信』といった昭和を代表する老舗の醤油ラーメン店がたくさんあります。僕らは平成生まれですが、子どものころからこうした味を食べて育ったので大好きです。
つい最近、良太に誘われて行った店も、まさにそんな昔懐かしい味のラーメン店。それは京王井の頭線・浜田山駅の近くにある『たんたん亭』です。
周:店名からすると担々麺かタンメンの店を想像するけど「ワンタンメン」が評判なんだね。杉並区に住んでいるのに知らなかったよ。
良太:1977年に創業して以来、常に人気店で、ここで修業した弟子たちが出した店も次々に人気店になっているみたい。ちなみに、池尻大橋の『八雲』、高円寺の『麺屋はやしまる』、阿佐ヶ谷『支那そばたなか』がそうらしい。
周:へえ、すごいな。

というわけで、昼前に店に向かうと、やっぱり行列していました。店先メニューが貼りだされていて、「ワンタンメン」だけでなく、「支那そば」や「つけそば」「チャーシューメン」などがありました。

でもやっぱり、ワンタンメンは必須オーダーでしょう。僕が「肉とエビ、どっちにしようかな」と迷っていると、「ミックスワンタンメンなら両方食べられるみたいよ」と良太。それなら、ということでそれに決定。ちなみに、店内でも待っている人がいて、入店するとすぐにスタッフにオーダーを聞かれるので、入店前にメニューを決めておくのが正解でした。
麺とワンタンを茹でる人、カエシとトッピングを丼に入れる人、配膳して下げる人、といった具合に3人だけでやっているのですが、その連携プレーにまったく無駄がありません。着席から着丼までたったの3~4分程度。そして登場したワンタンメンは……

どーん! 澄んだ濃い目の醤油スープに、細めの縮れ麺がキレイに泳いでいます。その上に海苔、厚めのチャーシュー、そしてツヤツヤしたワンタンがたっぷり。ワンタンの薄い皮越しに、エビ餡の薄い赤色と、肉餡の茶色が透けて見えます。

周:うわ~キレイ!
良太:これは相当、旨そうだね。

ワンタンから食べようとすると、箸でつかむと滑るくらいツルツル。口にいれるとエビ餡がたっぷりでプリップリです。

肉ワンタンの餡も、挽き肉が柔らかくてプルンプルンしていて、味付けの塩の加減もよく、もうワンタンだけで100個くらい食べたいくらいです。
良太:このスープ、コクがすごくない? たぶん豚骨や鶏ガラなんかでベースのスープをとってるんじゃないかな。
周:そこに鰹や昆布などの出汁もしっかり効いてるね。
良太:だいぶラーメンに詳しくなったね。しかも、このチャーシューは、正真正銘、焼いてあるタイプだよ。
周:え? チャーシューって「焼豚」って書くから、普通、焼いてんじゃないの?
良太:東京のラーメン屋さんのほとんどのチャーシューは煮て作る「煮豚」なんだよ。ここはとっても香ばしいから焼いているね。味つけも甘すぎず、すごく好きな味。次回はチャーシューを増量したいくらいだよ。

僕らはあっという間に完食してしまいました。ワンタンもチャーシューも麺もスープも、そしてビジュアルも三ツ星どころか、満天星です。
周:ここまでパーフェクトだと、他の店の「ワンタンメン」が食べられなくなりそうだよ。
良太:確かに。俺、冬休み中にまた来よ。次は「チャーシューミックスワンタンメン」にする。
周:俺は「ミックスワンタンメン」でしょ。それに「ワンタンスープ」も頼もうかな。
良太:ワンタンばっかりじゃねーか(笑)
というわけで、やっぱりすごい店は正真正銘すごいことがわかりました。また、それだけではなく、昔懐かしい味というより、むしろ洗練されていて、いつまでも新鮮さを感じさせてくれる感じの味でした。まだ食べたことがない人は、ぜひ『たんたん亭』の三ツ星ワンタン麺を食べてみてください。
(撮影・文◎土原亜子)
●SHOP INFO

店名:たんたん亭
住:東京都杉並区浜田山3丁目31-4
TEL:03-3329-4061
営:11:00~20:30
休:火