夕食は飛騨の恵と遊び心に出合う、山のごちそう会席

『界 奥飛騨』の夕食は地元食材をふんだんに使った会席料理。各組ごとに仕切られた半個室で、ゆったり落ち着いて食事を楽しめます。テーブルに案内されるとまず目に飛び込んできたのは、木箱の上にちょこんと座る不思議な顔の人形…。こちらは飛騨に古くから伝わる魔除けのお守り「山彦(やまひこ)人形」なのだとか。料理の随所に地域の伝統や遊び心が織り込まれていて、食べる前からワクワクさせられます。

「すったて」とは大豆をすり潰して出汁に溶いた白川郷の郷土料理。茶碗蒸し風にアレンジされたすったての上に、牛肉のしぐれ煮がのっています。まろやかな豆の風味と牛肉の濃い味が絶妙にマッチ!

赤と黄土の盤に並ぶ前菜は、季節の海・山の幸が目にも鮮やか。「トマト玉寄せ 生姜ジュレ」など夏らしい爽やかな小鉢の他、「稚鮎の煎り酒餡」「苦瓜とえんどう豆の和え物」といった酒肴も。地酒と共に楽しむのもおすすめですよ。

メインの台の物は、霜降りが繊細な飛騨牛を小鍋スタイルですき焼きにして味わいます。通常は砂糖と醤油のすき焼きが主流ですが、こちらでいただくのは冬の寒い山里ならではの発酵文化と保存食の知恵を反映した「味噌仕立て」。さらに、卵ではなく“とろろ”につけていただくという唯一無二な一品です。濃厚で甘い味噌と飛騨牛は言わずもがな完璧な相性でした。
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創作性に富んだ締めの甘味

締めの甘味は、みたらし団子ならぬ「みたらし真珠麿」。香ばしく焼かれたマシュマロに、みたらし餡をかけていただきます。かつて砂糖が貴重だった飛騨らしい味を再現した甘じょっぱい餡のおかげか、マシュマロなのに和菓子っぽさを感じる不思議さがありました。

さらに網の下には黒ゴマアイスと竹炭クランブルが隠れている仕掛け。みたらし餡がしたたり落ちて程よい塩気を纏ったアイスは締めにぴったり。最後の一匙まで驚きと楽しさに満ちた食体験に大興奮でした!