中華というジャンルを超えた絶品料理たち

今回、いただいたのは、李錦記本社に設置されたキッチンで作られた特別なフルコースでした。その中から特に印象的だったオイスターソースを使った料理をご紹介したいと思います。

まずは前菜の「ネギ油蒸し鶏」。あっさりとした蒸し鶏に、爽やかなネギ油とオイスターソースがほんの少しかかっています。ネギとオイスターソースの複雑な香りをまとったやわらかい鶏肉は絶品の一言。
オイスターソースはほんの数滴と少量しか使われていなのですが、これがあるのとないのとでは大違い。牡蠣のエキスで鶏肉に高級感が加わり、旨味がグンと増幅されています。
ちなみに、李錦記本社にあるラボでは、オイスターソースをはじめとする調味料の「甘味、酸味、塩味、苦味、渋味、鮮味」という6つの味を分析し、常に一定のバランスを保つように管理されています。この中で“鮮味”という言葉は初耳でしたが、舌の上で続く味の余韻、言い換えると舌に残る旨味を表す中国語だそうです。さすが美食の国。奥深いですね〜。
![「牛肉とじゃがいものオイスターソース炒め」[食楽web]](https://cdn.asagei.com/syokuraku/uploads/2025/04/20250426-rikinki06.jpg)
続いては、メイン料理のひとつ「牛肉とじゃがいものオイスターソース炒め」です。こちらは前菜と違い、しっかりとオイスターソースが使われた濃厚な肉料理。牛肉が非常にやわらかく、噛むほどに旨味や甘みが増幅。まるでフレンチの牛肉の赤ワイン煮のようなコク深さです。
また、ホクホクのじゃがいにもオイスターソースがしみこんでいて、最高に旨し。ホクホクとしていて、旨味が口いっぱいに広がります。そして後味がさっぱりしているのもオイスターソースならではかもしれません。
さらにオイスターソースを使用した「カニ玉」や「麻婆豆腐」、「黒チャーハン」といった中華料理の試食が続きました。こんなにオイスターソースを使った料理を食べているのに、しつこくないのが不思議です。
そして最後はデザートは、なんとオイスターソースを使ったプリン!

見た目はクラシックなカラメルソースがかかったプリンに見えますが、このソースにオイスターソースが使われているんです。
繰り返しますが、オイスターソースといえば牡蠣のエキス。しかしそんなことを完全に忘れてしまうほど、ひたすら旨味が凝縮した濃厚カラメルソースになっています。これもすっきり、あっさり。濃厚な卵味のプリンとソースの相性の良さに感動すら覚えるレベル。オイスターソース、恐るべし! と唸ってしまいました。
李錦記のオイスターソースへのこだわりがスゴい

そもそも、オイスターソースに限らず、李錦記は製品へのこだわりがすごいんです。李錦記スタッフの話によると、企業のモットーは「100-1=0」。99 では? と思いますよね。でもこれは、製造過程で1つでもミスや手抜かりがあれば、その商品の価値は0になる、ということを意味しているそうです。
オイスターソース製造に関しても、当然手抜かりはありません。牡蠣の養殖場までしっかり管理し、新鮮で安全なものだけを選別。材料の砂糖や小麦粉なども厳しく厳選。そしてオイスターソースの一番の特徴である旨味やコクを引き出すため、常に味のバランスの検査をし、100%自信があるオイスターソースを作ることを徹底しているというわけです。
実際にラボや製造過程を見学しましたが、最先端のマシンがずらり。まるで半導体工場のようにクリーンでした。そしてこの本社で味わったオイスターソースのフルコースでよくわかったのは、オイスターソースは、中国料理という枠にとどまらない調味料であるということ。
ぜひ、みなさんもオイスターソースをたくさん使ってみてください。普段の料理のクオリティがグンと上がると思いますよ。
(撮影・文◎土原亜子)