濃厚で奥深いつけ汁にノックアウトされること間違いなし!

『中華そば 貴富』はJR山手線・大塚駅前の、都電荒川線の線路のすぐ横にあり、昼時は必ず行列しているので、すぐに見つかると思います。店内はカウンター6席、また店の外にもカウンター席が3席。行列はありますが、回転が早いので、平日の昼であれば10分待ちくらいで入れます。
『貴富』さんの定番メニューは、「つけそば」(1000円)と「地鶏醤油そば」(1000円)。季節限定で「塩」系も登場します。ただ、もちろん一番人気は「つけそば」です。

上の写真が『貴富』の「つけそば」1000円です。ご覧のように濃い醤油の色で、脂がしっかり浮かんでいて、いかにも濃厚そうでしょ。このつけ汁、丸鶏、ゲンコツ、昆布、野菜などでとったスープに、煮干し、鯖節、鰹節、数種類のスパイスを加えて作る、なんとも手間暇のかかった逸品。
具材には、ネギ、細切りのチャーシュー、メンマがたっぷり。麺は、ラーメン界で有名な『菅野製麺所』特注の太いストレート麺。小麦色が美しいですね。

お店が推奨する食べ方は、以下の通り。
1.まずは(麺をつけ汁に浸して)普通に食べる
2.(麺を)1/3ほど食べた後、卓上にある酢をつけ汁に入れる
3.残りの1/3の麺に、卓上の黒七味をかけて食べる
4.残ったつけ汁をスープ割にして飲み干す

麺をスープにつけると、スープが麺に密着するように絡まります。その麺をすすれば、最初はキリッと刺激のあるスパイシーな風味が訪れ、続いてスープの濃厚な旨味が麺とともにツルリと入ってくる。麺はもちもちで、小麦のいい香りも。そしてスープと小麦が合体した旨味が口いっぱいに広がる、まさに絶品。
この最初の一口で「ああ、幸せ!」となります。この幸福が永遠に続けばいいのに……と毎回思うんですよね。でも、残念ながら麺は確実になくなっていきます。
そしていつも夢中になって食べるので、店オススメの食べ方の「1/3でつけ汁に酢を入れる」という約束や、「1/3で麺に黒七味をかける」を忘れがち。卓上の調味料に脇目も振らずに無我夢中で食べちゃうんですね。
でも、絶対に忘れないのは最後の「スープ割」です。麺が儚くも消えてしまったら、お店の方に「スープ割りをお願いします」とお願いします。
![スープ割は絶対に忘れません[食楽web]](https://cdn.asagei.com/syokuraku/uploads/2024/09/20240921-fuki08.jpg)
残った濃いつけ汁にスープを足してもらった「スープ割」がまた最高に旨い。まずはそのまま飲んで、次に卓上の酢や黒七味を入れたりして、最後の一滴まで余すところなく飲み干します。最初から最後までずっと美味しいのですが、このスープ割で〆ると、旨味の最高峰に昇りつめるような、そんな感じなのです。
最後に、『丸長』さんのつけそばのインスパイア系と前述しましたが、見た目も味わいも違うことを付け加えておきたいと思います。食べるとわかりますが、丸長をリスペクトしつつも、『貴富』さんのは令和の新しいつけそばに進化していると思います。私はそんな気がしますが、ぜひ食べて感じてみてほしいです。
というわけで、『貴富』の「つけそば」食べに行ってみてください。話していたら、また食べたくなってきましたので、今からまた食べに行ってきま〜す。
●プロフィール
荒川 治
東京都内在住のタクシー運転手。B級グルメ好きが高じて、現職に就き、お客さんを乗車させつつ、美味い店探しで車を回している。中年になってメタボ率300%だが、「死神に肩をたたかれても、美味いものを喰らって笑顔で死んでやる」が信条。