江戸時代から愛される三国湊の酒まんじゅう。名店『酒万寿処 にしさか』を尋ねた

三国湊は江戸時代、日本海交易の重要拠点として栄えていました。福井市の観光サイトによると、「大阪を経由して砂糖などの積荷を運んできた北前船の船頭たちが、三国湊に何日か停泊していた時に、地元の人達に酒万寿の製法を教えたとされている」そう。
こうしてできた酒まんじゅう、「ほっぺたがとんでいくほど美味しい」と評判になり、多くの「酒万寿や」ができたそうなんですね。
かつては多くの酒まんじゅうのお店が軒を連ねていたそうですが、今では3店舗に。そのうち、大正10年に創業した人気店『酒万寿処 にしさか』を訪れました。


酒を使って作られる酒まんじゅうは、めでたい縁起のいいものと重宝がられ、結婚式や建前などで配られました。寿と書かれたショーケースには酒まんじゅうをいっぱい詰めて、結婚式などで配るときに使われたそう。酒まんじゅうは今でも結婚式の定番品として重宝されていて、この街ならではの風習が残っています。

さて、そんなお話を聞きながら、出してもらったのが焼きたての酒まんじゅう。
甘酒の優しくて、あま〜い香りが店中に満ちていきます。ほんわかとする、いい香り。
酒まんじゅうは、もち米と糀で甘酒をたて、甘酒の香りが出たところで小麦粉を加え発酵熟成させた種に、練り上げた餡を包んで蒸しあげる。お店それぞれに違う焼印を押すことで、三国だけの酒まんじゅうの出来上がり。

甘酸っぱいような酒の風味と香り。焼印をつけるところで、しっとりとした生地に香ばしさも生まれます。餡のまた、まろやかなこと。そして、平べったくて大きい。さまざまな温泉街や観光地でも見かける酒まんじゅうとは、一線を画す美味しさです。
一口噛み締めるたびに、日常のささやかな幸せまで噛み締める、そんな心までふくれる味わいです。

ちなみにひんやりとした夏季限定「水まんじゅう」もつるりと美味しかった。

朝イチに訪れましたが、地元の人がひっきりなしに酒まんじゅうを買いにやってきていました。そんな光景も微笑ましくて、その昔、地元の和菓子店に買いに行った光景がありありと思い浮かびました。
当日は他のお店が閉まっていたため行けませんでしたが、焼印も味わいも違う、三国湊の酒まんじゅうを食べ比べするのも楽しそうです。
●SHOP INFO
酒万寿処 にしさか
住:福井県坂井市三国町北本町4-2-14
TEL:0776-82-0458
営:9:00〜18:00 ※商品が売り切れ次第、閉店。
休:木曜
https://www.nisisaka.com/