再現度は?「荻窪中華そば 春木屋」を実食!

店員さんに食券を渡し、約8分ほどでラーメンが着丼。魚介の存在がほのかに感じられるスープの香りと具材の配置、スープから垣間見える麺の姿は、「春木屋のラーメン」を強く意識させてくれます。

ではさっそく、スープから確認。レンゲですくうと、膜を張るかのようにクリアな油が表面を覆います。この感じ、完全に「春木屋のスープ」。再現度の高さに驚かされます。味は、魚介の程よい香りが心地良い。かえしの醤油ダレも、醤油の尖った味が突き抜けることなく丸くマイルドに抑えられ、後から旨みの余韻が押し寄せてきます。うめえ~。

続いては麺。箸でリフトしてすすります。つるっとした舌触りとパツっと切れる歯切れ感、スープをしっかり纏ってくるところも含めて、こちらも『春木屋』っぽさがあります。麺の食感や味わいにそれほど大きな違いはありませんが、手揉みで仕上げるため縮れ具合と太さにムラがあるオリジナルの麺に比べ、こちらは均一でキレイに整っている感じです。

最後は具材。海苔、メンマ、刻みネギ、チャーシューと、構成自体はオリジナルと同一ながら、チャーシューは完全に別物。『春木屋』が厚めにカットされた肩ロース肉が2枚乗っているのに対し、こちらは極薄のバラ肉が1枚です。
敢えて変えてきたのはコスト的なものなのか、それとも別の理由なのか…。味自体は肉の旨みと脂の甘味がしっかり感じられて美味。これがたくさん乗ってる「ちゃーしゅー麺」は、もしかしたら全然アリかもしれません。
食べすすめていると、スープの旨みが強いことに気づきました。オリジナルよりも、口の中に残る旨みの余韻が強く、そして消えるまでの時間が長く感じられます。だけど『春木屋』のテイストからは全然逸脱しておらず、また麺もスープと絶妙にマッチしていて、さっさと食べ切ってしまうほどの美味しさ。お冷でリセット→レンゲでスープをすくってゴクゴクを繰り返し、最後は器を抱えて完飲。ごちそうさまでした!!
まとめ

味に関しては、全くもってケチの付けようがない、非常に美味しい味わい。シンプルだけど深みのある醤油スープ、その味を邪魔しないつるつるパツパツの麺は、オリジナルの「春木屋のラーメン」にしっかりと寄せられていました。
そして気になる再現度は、筆者的には90%は超えるものの、100%にまでは届かずといったところでしょうか。減点要素は、完全に別物だったチャーシューと手揉み仕上げの乱雑さがなかった麺、そして醤油の風味と余韻の旨みが強かったスープの味わい。味が微妙に“強い”というか”派手”に感じられました。とはいえ、これはもう“誤差”みたいなレベルの差異。もしも「春木屋のラーメンってどんな味?」と問われたら、筆者は「今らあめん花月嵐で出してるやつとほぼ同じ。美味しいよ!」と答えるでしょう。それほどの再現度と、醤油ラーメンとして高いクオリティを備えていると断言させていただきます。
これまでに「春木屋のラーメン」を食したことがない方、また食す機会に恵まれなかったという方も、今回の「荻窪中華そば 春木屋」は、間違いなく食べて損なしの価値ある一杯。お近くの『らあめん花月嵐』で、至高の荻窪ラーメンをぜひじっくりと味わってみてくださいませ!
(撮影・文◎河西まさあき)